2011 Fiscal Year Annual Research Report
陽性荷電マグネトリポソームを用いた乳癌・甲状腺癌温熱治療至適条件の開発
Project/Area Number |
22591429
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 常夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80252245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊森 豊根 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90402635)
小林 猛 中部大学, 応用生物化学部, 客員教授 (10043324)
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Keywords | マグネトリポソーム / 乳癌 / 甲状腺癌 / 温熱療法 / 陽性荷電 |
Research Abstract |
腫瘍細胞は正常細胞に比べて熱に弱いという性質がある。43℃程度の比較的低い加温で腫瘍細胞は壊死し、同時にHeatShock蛋白などの免疫賦活物質を産生することで腫瘍免疫が惹起される。鉄の微粒子(マグネタイト)を脂質(リポソーム)で包埋し表面を陽性荷電にした製剤(マグネトリポソーム:Magnetite Cationic Liposome:MCL)を腫瘍組織に局所注射し、腫瘍細胞内に鉄を取り込ませ、交番磁場を照射し腫瘍特異的に加温する。MCLと交番磁場照射を用いた温熱免疫治療法を乳癌・甲状腺癌治療に応用するため臨床応用を視野に入れた至適条件の開発を目的とした基礎研究を計画した。C3H/HeN系マウスにmm46 mammary carcinoma(マウス乳癌細胞)を移植する乳癌モデルを実験動物として用いると、径15mm以上の乳癌腫瘍を形成し、複数回の温熱治療を行うことにより腫瘍が退縮する。ヌードマウスへの癌移植モデルと異なり免疫能を有する動物モデルなので、マウスの免疫を賦活することにより温熱治療をより強力なものにできる。制御性T細胞は、抗原提示細胞による抗原提示前から細胞傷害性Tリンパ球結合抗原4およびCD25を発現している。これら2つの表面抗原に対する抗体を投与することにより、制御性T細胞の働きを抑え、そのことで温熱治療の効果が増強され、細胞障害性T細胞による腫瘍免疫が増強されると予測して実験を計画した。コントロール群、MCLを用いた温熱治療だけを行った群、抗体だけを投与した群、抗体の前投与後にMCLを用いた温熱治療を行った群を比較することにより、CTLA-4およびCD25抗体併用の温熱免疫療法の効果を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗体の投与の有無による治療効果の差が認められず、いまだ予測したような結果が得られていない。抗体そのものに問題があるのか、実験計画そのものに無理があるのか、もう一度検討し直している。
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Strategy for Future Research Activity |
温熱療法の効果を観察するin vivoにおける実験モデルは、温熱治療による腫瘍縮小では非常に良い実験モデルであったが、免疫の関与を検証する実験モデルとしては適切でないのかもしれない。今後は実験モデルそのものが適切かどうかも含めて研究の推進方策を検討する予定である。
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Research Products
(8 results)