2010 Fiscal Year Annual Research Report
TNF-αとClaudin-1を分子標的とした新規胃癌腹膜播種性転移治療法の開発
Project/Area Number |
22591464
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
内藤 和世 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (90164102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20244600)
塩崎 敦 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (40568086)
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Keywords | 胃十二指腸外科学 |
Research Abstract |
平成22年度は、ヒト胃癌細胞株においてTNF-αによるClaudin-1発現制御機構が存在するかどうかを検討し、さらに、TNF-αによるClaudin-1を介する遊走能制御の解明を試みた。胃癌細胞株(MKN28、MKN45)を用い、Claudin-1の蛋白発現レベルをウェスタンブロット法で解析すると、培養時間・細胞密度の増加に伴い、Claudin-1の発現レベルが増強されることが確認された。これらの細胞をTNF-α処理し、ウェスタンブロット法で解析したところ、Claudin-1の蛋白発現レベルの増強が確認された。一方、他のEMT・MET関連マーカーである、E-CadherinやVimentinの蛋白発現レベルは、TNF-α処理により影響を受けなかった。また、両細胞株において、TNF-α処理後のClaudin-1 mRNA発現レベルを定量的RT-PCRにより解析したところ、Claudin-1の発現レベルの増強が認められた。さらに、創傷治癒アッセイによる細胞遊走能解析により、TNF-α処理により、両細胞株の細胞遊走能が増強されることが明らかとなった。我々は以前より、肺癌細胞株において、Claudin-1が単なる密着結合蛋白としてではなく、TNF-αによる腫瘍活性化シグナルを伝達するメディエーターとして機能することを明らかにしてきた(現在投稿中)。平成22年度の解析結果により、Claudin-1が胃癌細胞株においても同様に、TNF-αシグナルを仲介・制御する可能性が強く示唆された。今後、抗ヒトTNF-α抗体(Infliximab)とClaudin-1 siRNAを用い、胃癌細胞における細胞遊走・浸潤能への影響をさらに解析していく。また、マウス胃癌腹膜転移モデルを用い、抗ヒトTNF-α抗体、Claudin-1 siRNAの播種性進展抑制効果を検討していく予定である。
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