2011 Fiscal Year Annual Research Report
TNF-αとClaudin-1を分子標的とした新規胃癌腹膜播種性転移治療法の開発
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22591464
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
内藤 和世 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (90164102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20244600)
塩崎 敦 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (40568086)
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Keywords | 胃癌 / Claudin-1 |
Research Abstract |
胃癌細胞株(MKN28、MKN45)において、培養時間・細胞密度の増加に伴い、Claudin-1の蛋白・遺伝子発現レベルが増強されることをウェスタンブロット法・定量的RT-PCR法で確認した。これらの細胞をTNF-α処理したところ、Claudin-1の蛋白・遺伝子発現レベルの増強が確認され、ヒト胃癌細胞株においてTNF-αによるClaudin-1発現制御機構が存在することが明らかとなった。また、MKN28にClaudin-1 siRNAをトランスフェクションし、蛋白・遺伝子発現抑制効果をウェスタンブロット法・定量的RT-PCR法で確認した。さらに、Claudin-1 siRNAをトランスフェクションしたMKN28において、TNF-α処理後のClaudin-1発現増強効果が抑制されていることを確認した。現在、TNF-α・Claudin-1経路により制御される遺伝子を解明するため、TNF-α処理の有無別、Claudin-1 siRNAトランスフェクションの有無別にMKN28をサンプリングし、microarrayによる網羅的解析を試みている。一方、Boyden chamberによる解析により、TNF-α処理により、MKN28の細胞遊走・浸潤能が増強されることが明らかとなった。また同時に、他の癌細胞株を用いた基礎的解析を行い、Claudin-1が肺癌において単なる密着結合蛋白としてではなく、TNF-αによる腫瘍活性化シグナルを伝達するメディエーターとして機能することを明らかにした(Claudin 1 mediates TNFα-induced gene expression and cell migration in human lung carcinoma cells.PLoS ONE. 2012 accepted)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のうち、ヒト胃癌細胞株におけるTNF-αによるClaudin-1発現制御機構の有無の検討、TNF-αによるClaudin-1を介するヒト胃癌細胞株遊走・浸潤制御機構の存在の確認はすでに終了している。また、TNF-α・Claudin-1経路に制御される遺伝子を解明するため、microarrayによる網羅的解析が現在進行中であり、研究目的はおおむね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ヒト胃癌細胞株におけるTNF-α・Claudin-1経路による細胞浸潤関連遺伝子制御機構の解明を行う。また、ヒト胃癌組織におけるTNF-α、TNFR-1、Claudin-1発現レベルの解析と、臨床病理学的因子との相関性の検討を行う。さらに、マウス腹膜転移モデルにおける、抗ヒトTNF-α抗体(Infliximab)、Claudin-1 siRNAの播種性進展抑制効果の検討を行う予定である。
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