2010 Fiscal Year Annual Research Report
血小板・クッパー細胞相互作用に着目した肝虚血再灌流障害抑制法の開発
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22591499
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近藤 匡 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (00375495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 信弘 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40213673)
福永 潔 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (20361339)
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Keywords | 肝臓外科学 / 肝虚血再潅流 / 肝微小循環 |
Research Abstract |
[背景・目的]肝虚血再灌流障害は再灌流直後のKupffer細胞の活性化と、血小板と内皮細胞との相互作用による微小循環障害がその原因と考えられている。またKupffer細胞の存在下で血小板は内皮細胞と膠着して微小循環障害をきたすことより、Kupffer細胞と血小板のあいだにはなんらかの相互作用が働いていることが考えられている。ところが、実際に肝類洞内でどのような動態を示すのかはこれまで明らかとされたことはない。 わたしたちは、かねてKupffer細胞の生体内蛍光染色に成功し、生体蛍光顕微鏡でリアルタイムに観察することを可能にした。本研究ではこの技術を利用して虚血再灌流後の肝類洞内におけるKupffer細胞と血小板動態を観察して、相互作用を検討した。 [方法]体重250~300gのSD Ratを使用した。蛍光色素をリポゾーム内に封入して貪色させることで実験に先立ちKupffer細胞を染色した。その後、全身麻酔を行い気管切開ののち人工呼吸を行った。頸部を切開剥離の後、頸部動静脈にカテーテルを挿入した。開腹し肝葉を脱転して特殊粘土上に固定し、生体蛍光顕微鏡を用いて肝微小循環を観察した。肝虚血は20分間の全肝虚血とした。生体蛍光顕微鏡による観察は再灌流後120分までとした。血小板は再灌流後30,60,120分時に蛍光標識血小板を投与し観察した。再灌流120分後の観察ののち、肝組織と血清を採取した。 [結果]虚血再灌流後に肝類洞内でKupffer細胞はZone1を中心に分布し(63.7%)、血流再開後120分にわたり安定してin vivoで観察することができた。類洞内皮に膠着する血小板数は再灌流時間の経過とともに増加することが判明した。そのうち約半数の血小板はKupffer細胞と直接接着することが判明した。
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Research Products
(1 results)