2011 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓癌に対する術前化学放射線治療の感受性予測法構築におけるMicroRNAの関与
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22591518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江口 英利 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90542118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 浩昭 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10294050)
丸橋 繁 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20362725)
小林 省吾 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30452436)
友國 晃 大阪大学, 医学系研究科, 医員 (40528577)
種村 匡弘 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30379250)
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Keywords | 癌 / マイクロRNA / マイクロアレイ / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、膵臓癌の抗癌剤耐性機構におけるmicroRNA (miRNA)の関連を解明することである。平成23年度は、miRNAのうちで他臓器の癌の薬剤耐性に関与すると報告されているmiR-181bに関して膵臓癌細胞株においてその発現を検討し、miRNAを操作することによる感受性の変化、およびmiR-181bが制御している蛋白質の同定とその機序の解明を行った。 (1)膵癌細胞株に対するmiR-181bの強制発現/発現抑制による薬剤耐性の変化 miR-181bの発現が低い膵癌細胞株(MiaPaCa2)に対してpre-miR-181bを用いて強制発現を、また発現の低いBxPC3、Panc1、PSN1に対してanti-miR-181bを導入して発現抑制をしたところ、miR-181bの多寡が抗癌剤(ゲムシタビン)に対する感受性を規定していることが判明した。 (2)miR-181bによる薬剤耐性の機序の解明 FACSを用いて癌細胞のapoptosisの割合annexin V/PI法によって計測したところ、miR-181bの発現を抑制することによりapoptosisの割合が増加していた。 (3)miR-181bが制御する蛋白質の同定 まずmiR-181bの抑制によりCYLD(cylindromatosis)の蛋白量が増加することを確認した。さらにCYLDのRNAiを用いてその発現を抑制したところ、Panc1、PSN1において薬剤感受性の上昇を認めた。さらにこれらの細胞株では、CYLDのRNAiによってNF-κBのactivityが上昇していることが判明した。以上より、この経路がゲムシタビンの薬剤感受性を制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miR-181bが膵癌の薬剤耐性に関わるのみならず、その下流で薬剤耐性に直接関わる蛋白質としてCYLDを同定し、その機構にNF-κBが関与することも明らかにした。以上の知見を得たため、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当科ではGemcitabine(膵癌に対する第一選択薬)に耐性を示す膵臓癌細胞株を樹立しており、膵癌の薬剤耐性に関わるmiRNAを網羅的に検討するために、その耐性株を用いて東レ社製miRNAチップにて網羅的にmiRNAの発現差を検討し、既に発現低下または発現上昇している複数のmiRNAのリストを得ている。今後はmicroRNAのデータをネットワーク解析にて網羅的に解析し、最も重要なmiRNAの同定とその耐性機構の解明を行う予定である。
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Research Products
(1 results)