2010 Fiscal Year Annual Research Report
高輝度放射光のマイクロビーム照射が脳腫瘍を選択的に壊死させる機序について
Project/Area Number |
22591586
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 威 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50273769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲村 英二 神戸大学, 医学研究科, 教授 (30225388)
篠山 隆司 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10379399)
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Keywords | 放射線治療法 / 微小平板ビーム / 高エネルギーX線 / モンテカルロコード / ガフクロミックフィルム / 顕微分光 / グリオーマ / マイクロアレイ解析 |
Research Abstract |
Microbeam radiation照射を行った正常ラット脳において遺伝子レベルの放射線応答を検討した。照射1週間後のビーム照射組織、ピーム間の非照射部、全く非照射の対側脳、をそれぞれレーザーマイクロダイセクション(LCM)によって切り出してRNAを抽出し、Differential Display (Gene Fish)法によって発現遺伝子を比較した。その結果、コントロールに比べてスリット照射部位で発現量が上昇し、ブロード照射部位で減少している遺伝子としてchrdl1が確認された。この遺伝子は神経幹細胞においてグリア細胞運命決定の阻害を司る遺伝子で、治療作用機構にmRNAを介した情報伝達系の活性化が示唆された。 一部の細胞集団に放射線を照射すると、放射線に直接曝されていない近傍の細胞にも照射の影響が引き起こされることが知られおり、この現象はバイスタンダー効果と呼ばれている。共同研究者の菓子野助教によって、microbeamでもバイスタンダー効果があることを培養細胞にて明らかにした。 主に液性因子によって司られると考えられてきたバイスタンダー効果であるが、細胞内レベルで、さまざまさmRNAを介した情報伝達系が活性化されていることが初めて示された。特にpnlipの著しい減少が、スリット照射部位のみならず、対側にまで及んでいたことは、peakとpeakの間でのバイスタンダー効果のみならず、スリット照射エリア外へ及ぶmicrobeamの影響を示すものである。興味あることに、臨床で用いられるコバルトを線源としたガンマナイフ治療ユニットを用いた動物実験でも、60Gyの照射が反対側の線条体に照射側と共通の遺伝子の減少を示したとの実験結果が2009年に報告され、microbeam照射と共通の現象と考えられる。
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