2011 Fiscal Year Annual Research Report
頸動脈ステント留置術周術期における抗血小板薬不応症に関連する遺伝子多型の解析
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22591591
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 省二 九州大学, 大学病院, 特任助教 (00570772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉良 潤一 九州大学, 医学研究院, 教授 (40183305)
大八木 保政 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30301336)
古田 興之介 九州大学, 大学病院, 特任助教 (60546571)
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Keywords | 頚動脈ステント留置術 / 抗血小板薬不応性 / 遺伝子多型 / クロピドグレル / CYP2C19 / verify now |
Research Abstract |
少なくともアスピリンとクロピドグレルの両方を服用し頸動脈ステント留置術もしくは脳動脈コイル塞栓術を受ける患者で、同意の得られたものを対象とした。2010年5月登録を開始し、現時点までに、対象症例は連続113症例[年齢67.4±11.8歳,男性56(49.6%)]となった。とした。クロピドグレルの効果が低下し得るCYP2C19の機能低下型の遺伝子多型(CYP2C19*2もしくは*3)を1つ持つintermediate metabolizerは50%、2つ以上持つpoor metabolizerは23%に及んだ。一方、機能増強型のCYP2C19*17を持つ例は2%に認めた。またVerify Now装置によるクロピドグレルの効果判定のための血小板凝集能(PRU値)の測定に関しては、アスピリンとクロピドグレルのみを服用中の患者(N=103)においては、CYP2C19*2または*3を1つ以上有する群では、有さない群より治療当日の血小板凝集能(PRU値)が有意に高かった(253.7±99.6vs.168.8±87.9,P<0.001).アスピリンとクロピドグレルにシロスタゾールを併用した症例の中で、CYP2C19*2または*3を1つ以上有する10例でのPRU値は、CYP2C19*2または*3を有さずかつ、シロスタゾールを併用していない群と比較して差異を認めなかった。 日本人の頸動脈ステント留置術、脳動脈瘤コイルステント術を受ける患者群においても、日本人の他疾患や健常者のデータと同様に、CYP2C19の機能低下型の遺伝子変異をもつ患者の割合が高く、その遺伝子変異はクロピドグレルの抗血小板作用に効果に影響していた。CYP2C19の機能低下型の遺伝子変異を持つ患者において、シロスタゾールを併用することにより、クロピドグレルの効果が補われる可能性が考えられた。次年度以降は症例を蓄積しつつ、これらの検査値と周術期の合併症との関連性についてさらに解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、対象症例を頚動脈ステント留置術のみに限定しており症例数がなかなか増加しなかったが、脳血管内治療の一つである脳動脈瘤コイル塞栓症症例まで対象を広げた後順調に症例数が増えてきているので。
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Strategy for Future Research Activity |
CYP2C19*2,*3,*17の他に新たにPON-1遺伝子多型の解析も加え、遺伝子多型と抗血小板薬の効果と臨床データとの関連性の解析を予定している。
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Research Products
(4 results)