2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト急性期脊髄損傷血中バイオマーカー測定と亜急性期マーカーの探索
Project/Area Number |
22591649
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
飛松 好子 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所義肢装具技術研究部, 部長 (20172174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所運動機能系障害研究部, 部長 (00392192)
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Keywords | バイオマーカー / ヒト脊髄損傷 / ELISA |
Research Abstract |
研究の初年度に当たる22年度はまず、ヒト脊髄損傷におけるバイオマーカー研究において必要となる、実際の脊髄損傷患者の末梢血液検体の収集を行った。都立墨東病院救命救急センターの協力を得て、これまでに18例の脊髄損傷患者からの血液サンプルを採取した。サンプルは受傷から6,12,18,24,48,72,96時間後の各タイムポイントにおいて採取された。得られたサンプルに対し、すでにラット脊損モデルにおいて重症度とともに血中値が上昇することが確認されているpNF-Hの計測を行った。その結果、ヒト脊髄損傷症例の血液サンプル中のpNF-Hもこれまで使用しているELISAシステムで計測可能であることが確認された。また、重症例である完全麻痺症例の血液サンプルは、より軽症である不全脊髄損傷例のデータと比較し、統計的有意差を持って高値を示すことが確認された。興味深いことにラット脊髄損傷モデルでの血中pNF-Hは受傷後3日目にピークを示し、その後漸減するのに対し、ヒト脊髄損傷でのpNF-Hは受傷後96時間の時点でも値の上昇傾向が持続していた。今後、より長い観察期間を対象としてサンプルを採取し、pNF-H値の推移を観察する必要がある。 一方、ラット脊髄損傷モデルを用いた実験系では、pNF-Hと補完しあう新たなバイオマーカーの探索が行われた。脊髄損傷における損傷バイオマーカーは一般的に血中よりも脳脊髄液中で高値を示すことが知られており、新規のバイオマーカー評価のためには脳脊髄液の経時的採取が必要と考えられた。22年度はこの課題に対し、ラット脊髄損傷後の後頭骨の尾側から針を刺入して脳脊髄液を採取する手法を確立することができた。この方法によって受傷後の複数のタイムポイントで脳脊髄液の解析が可能となり、今後新たなバイオマーカー探索に用いる予定である。
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