2010 Fiscal Year Annual Research Report
非対称性ジメチルアルギニンが脳血管反応性へ及ぼす影響と術後早期高次脳機能障害
Project/Area Number |
22591734
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石田 和慶 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80314813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 志朗 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70322245)
山下 敦生 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50379971)
松本 美志也 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60243664)
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Keywords | 脳血管炭酸ガス反応性 / 腎障害 / 尿素窒素 / クレアチニン / 非対称性ジメチルアルギニン / L-arginine / 術後高次脳機能障害 |
Research Abstract |
【対象と方法】慢性系球体腎炎による腎障害(RF)における腎移植症例36例(RF群:血液又は腹膜透析30例、透析直前6例)と非RF13例(C群)で、脳血管CO_2反応性(CO_2R)を比較検討した。麻酔導入2-3時間後の手術侵襲が少ない時点で呼気イソフルラン1%、亜酸化窒素50%とし、PaCO_2 35mmHgで中大脳動脈血流速度(V35)を測定後、PaCO_2 45mmHgで再度測定した(V45)。CO_2Rは1mmHg PaCO_2に対するVの変化(△V/△PCO_2;絶対変化)と、対V35比(△V/△PCO_2/V35:相対変化)で評価した。 【結果】RF群/C群(年齢40±14/47±11歳)で、術前の尿素窒素(BUN:56±16/13±3mg/dl)、クレアチニン(10.2±3.2/0.7±0.1mg/dl)はRF群で高かった。PaCO_2 35mmHgでの平均血圧(83±12/74±11mmHg)、V35(51±23/46±14cm/sec)に差はなく、ヘモグロビン(8.7±1.3/10.5±1.7g/dl)はRF群で低かった。V45はRF群/C群76±30/69±15cm/secで、絶対、相対変化に群間差はなかった。ただしRF群内では、絶対、相対変化ともBUN値と負の相関を示し、透析患者よりも透析前患者でBUNは高く(53±14/72±17mg/dl)相対変化は小さかった(5.7±2.6/2.6±2.1%/mmHg)。【まとめ】RFではCO_2Rは大きくは障害されないが、RFが高度になるとCO_2R障害を起こす可能性が示唆された。BUNとの関連から液性因子の関与が示唆された。非対象性ジメチルアルギニンとL-arginineを測定し、CO_2Rとの関連を検討中である。また神経心理学検査から術後高次脳機能障害(POCD)の発生を調べており日常生活動作の障害についても調査中である。
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