2011 Fiscal Year Annual Research Report
難治性疼痛に対する脊髄刺激鎮痛法の作用点の解明―中枢か脊髄か―
Project/Area Number |
22591743
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
新堀 博展 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60404993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 賢一 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (10233412)
紙谷 義孝 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90381491)
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Keywords | 難治性疼痛 / 脊髄刺激鎮痛法 / 下降性抑制系 / マイクロダイアリシス法 |
Research Abstract |
平成23年度は脊髄刺激による疼痛緩和効果の責任部位を明らかにする目的で、下降性抑制系の起始核である青斑核(Locus ceruleus,noradrenergic)及び背側縫線核(Dorsal medial raphe,serotonergic)に対してそれぞれノルアドレナリン合成酵素であるDopamine β hydroxylase(DβH)、セロトニン合成酵素であるTryptophane Hydroxylase(TPH)と神経細胞の興奮の指標としてリン酸化cAMP response element binding protein(pCREB)に対する免疫2重染色を行った。生後10週の雄性SDラットに対し、左L5腰神経に対してSNLを行い、その1週間後にL3の椎弓切除を行い銀製の自家製刺激電極を先端部が腰膨大に達するように留置し、テスト刺激で患肢が収縮することを確認した。電極留置後1週間でauto von Frey装置により機械的刺激に対する患肢の過敏性を確認した後に50Hz、0.2ms、患肢が持続的に収縮する強度の約75%の刺激強度で1時間脊髄刺激を行い、機械的刺激に対する過敏性が減弱していることを確認の後、更に1.5~2時間脊髄刺激を加え、ペントバルビタール麻酔後還流固定し、脊髄及び脳幹部を摘出、後固定後薄切し組織学に用いた。コントロールとして神経障害のみを行ったSNLラット、全く何もしていないnaiveラットも同様に薄切標本にした。DβH,TPH,pCREBに対する免疫染色を行い、pCREBをRhodamine,DβH及びTPHをFITCで標識し、コンピュータによる画像取り込み後画像解析を行った。青班核においてはDβH及びpCREBはSNL及び脊髄刺激によっても有意な変化は見られなかったが、縫線核においてはSNLではnaiveと比較して有意なTPH及びpCREBの変化は見られないものの、脊髄刺激により有意にTPH陽性ニューロン及びpCREB陽性の細胞核が増加していた。この成果は2012年の北米麻酔科学会総会において発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脊髄刺激による中枢神経系の変化を一部捉えることが出来ており、今後は脊髄における変化と照らしあわせていくことが必要となる。また、インビボマイクロダイアリシス法は数回の施行り後断念し、摘出組織を用いたマイクロダイアリシス法に変更する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目玉の一つはインビボマイクロダイアリシス法による脊髄及び脳幹部での神経伝達物質の計測であったが、手技的に困難であり、研究期間の残り時間を考えるとその点にこだわらず、組織からの神経伝達物質め測定に変更したほうがより効率的と考えるようになった。期間内に研究成果をまとめるべく精力的に実験を行なっている。
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