2011 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛が記憶学習に及ぼす影響の、行動学的及び中枢神経系での組織学・生理学的検討
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22591744
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小川 賢一 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (10233412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新堀 博展 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60404993)
紙谷 義孝 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90381491)
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Keywords | 疼痛 / 記憶学習 / 海馬・扁桃体 / 術後鎮痛 / 電気生理学 |
Research Abstract |
平成23年度は術後痛モデル(Brennan's model)ラットに対する疼痛行動の評価を行った。昨年度、術後1週間での一試行受動的回避学習試験(inhibitory avoidance test:IA)施行に問題点があることが明らかになったので、開腹術モデルラットに対してIAを行うこととした。5週齢の雄性SDラット(120-150g)に対しイソフルラン(2%)麻酔下に剣状突起下腹部正中に2cmにわたって腹腔内に達する切開を加え、縫合することによりモデルを作成した。機械的刺激に対する疼痛閾値をvon Frey hairを用いて検討したが、毛の生えている場所であるためvon Frey hairが均一に当てられず、疼痛行動の評価は不可能であった。同時に術後痛モデルに対してIAを試みたが、足底に障害を加えるため、同一の刺激に対しても、コントロールの動物と刺激強度が違ってしまう、という問題点が明らかになった。一方でラット成獣を用いた多点皿電極による海馬での長期増強作用を検討する予備実験を麻酔科大学院生に試行してもらい、生後7週~9週のラット海馬において、50~70μAの刺激強度、100Hz、0.1秒のテタヌス刺激を加えると、field EPSP(興奮性シナプス後電位)の強度が約テタヌス刺激前と比較して約120~140%に増強することがわかり、その条件を詳細に検討、決定した。研究者代表者は院内での業務が多忙を極め、共同研究者においても臨床業務や教育義務の負荷が過重になってきたため、電気生理学的検討を行なってくれた大学院生を研究グループに加え、行動学的検討からやり直す方向性となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
疼痛モデルが思ったより早期に治癒することが判明し、行動学的検討の時期が不適切であった事、行動学的検討が術後痛モデルのラットに対して不適切であったことが研究の過程で明らかになってきたため、我々が得たい結果を得るためには大幅な研究計画の変更が必要であることが判明したため。
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Strategy for Future Research Activity |
行動学的検討・電気生理学的検討に習熟した大学院生を研究チームに加えることで、今までの遅れを取り戻したいと考えている。幸い実験条件等は、既にその大学院生がかなり煮詰めてくれたので、実験プロトコールさえ確定すればその先は早く進捗すると考えている。モデルについては単純化するため、背部皮下に5%ホルマリン溶液を0.5mL注入することによって炎症性疼痛モデルを作成することに変更し、その効果を自発行動の量や採血による炎症性サイトカイン(IL-1βやTNF-αといった当教室で測定実績があるもの)の測定で代替することにしている。
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