2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591782
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
野口 正典 久留米大学, 先端癌治療研究センター, 教授 (10140691)
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Keywords | 前立腺がん / がんワクチン / 遺伝子発現 / ゲノム解析 / バイオマーカー |
Research Abstract |
前立腺がんはホルモン感受性であることや進行が比較的緩やかであること、抗がん剤抵抗性、更には、無症状で進行して病理解剖時に始めて検出されるなどの特性を有する。これらより、がん進行や予後には生体の免疫能が大きく関与していることが推察されている。そこで、前立腺がん患者におけるがん細胞に対する宿主免疫反応を検討し、更に進行がん症例への個別化治療への科学的根拠を得るために免疫能のゲノム解析を実施することを目的とした。 本年度は、テーラメイドペプチドワクチン療法を受けた去勢抵抗性前立腺がん患者の内、900日以上生存できたLong-term survivor20例と300日以内に死亡したshort-term survivor20例について、ワクチン投与前の末梢血中の各種サイトカイン、ケモカイン、グロスファクターの測定ならびにワクチン投与前後の末梢血単核中の遺伝子発現をcDNAマイクロアレイを用いて測定し両群間における発現パターンを比較検討した。末梢血中のワクチン投与前の各種サイトカイン測定では、IL-6のみがshort-term survivorに有意に高い結果であった(p=0.009)。マイクロアレイ解析では、ワクチン投与前に19遺伝子が異常発現(15遺伝子,、up-regulated; 4遺伝子、down-regulated)しており、up-regulatedした15遺伝子の内13遺伝子はワクチン投与後も異常発現していた。これらの遺伝子は、骨髄由来細胞(myeloid-derived cells, MDCs)に関連したものであった。IL-6ならびにMDCsは、がんワクチン療法の予後不良因子であることが示唆された。現在、これらの異常発現遺伝子からワクチン投与前に測定することで予後予測バイオマーカーとなり得る候補遺伝子を選択している。
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Research Products
(4 results)