2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ナノミセルによるドラッグデリバリーシステムを利用した婦人科腫瘍の治療戦略
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22591848
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中川 俊介 帝京大学, 医学部, 講師 (70270874)
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Keywords | 子宮頸癌 / ドラッグデリバリーシステム / プロテアソーム阻害剤 / siRNA |
Research Abstract |
子宮頸癌の発症にはヒトパピローマウイルス(HPV)のE6およびE7癌蛋白による感染宿主であるヒトの癌抑制蛋白のユビキチン化を介する分解が深く関与している。E6癌蛋白はヒトの癌抑制蛋白p53を分解することでアポトーシス誘導の阻害により癌化に関わっている。この癌抑制蛋白の分解に関わる系を抑制する機能を持つものにプロテアソーム阻害剤がある。我々はプロテアソーム阻害剤であるMGI32内包のミセルによる新規ドラッグデリバリーシステムを開発した。また、E6癌遺伝子に対するsiRNAを同様にミセルに組み込むことに成功した。ヌードマウスの皮下に頸部腺癌から樹立されたHeLa細胞を移植し、マウスの尾静脈からMG132内包ミセルを投与し、ミセルの腫瘍集積性と抗腫瘍効果を検討した。また、子宮頸部腺癌の発生に関与すると考えられるHPV18型のE6遺伝子の発現を抑制し得るsiRNAをデザインし、そのE6遺伝子発現抑制効果を検討した。方法としては、E6により分解の標的となる癌抑制蛋白であるp53や膜に発現するhDlgやhScribの発現の上昇をウエスタンブロット法等で検討した。蛍光でラベルしたMGI32内包ミセルはヌードマウスの皮下に移植した頸癌の腫瘍に集積し、裸剤に比べ、強力な抗腫瘍効果を持つことが示された。投与したマウスの血中におけるミセルの安定性を調べたところ、裸剤のMG132に比べ、ミセル化したMGI32は長期にわたり、薬剤として安定であることが示された。HPV18型のE6遺伝子の発現を抑制し得るsiRNAをデザインし、HeLa細胞においてこのsiRNAをトランスフェクションしたところ、E6により分解の標的となる癌抑制蛋白であるp53や膜に発現するhDlgやhScribの発現の上昇をウエスタンブロット法や蛍光抗体染色により確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は既に全世界的にみても初めてプロテアソーム阻害剤であるMGI32のミセル化に成功した。このミセルを用いてマウスの子宮頸癌モデルにおいて、本薬剤が強力な抗腫瘍効果を持つことを示した。下記に記述するように本剤を用いて特許を取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮頸部腺癌の発生に関与すると考えられるHPV18型のE6遺伝子の発現を抑制し得るsiRNAをテザインし、そのE6遺伝子発現抑制効果を検討しているところである。この新規のE6遺伝子をターゲットとしたsiRNA封埋ミセルが上述のMGI32封埋ミセル同様に高い抗腫瘍効果を示せば、新たな子宮頸癌の治療戦略の一つとなる。
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[Journal Article] β-catenin (CTNNB1) S33C mutation in ovarian microcystic stromal tumors2011
Author(s)
Maeda D, Shibahara J, Sakuma T, Isobe M, Teshima S, Mori M, Oda K, Nakagawa S, Taketani Y, Ishikawa S, Fukayama M
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Journal Title
Am J Surg Pathol
Volume: 35(10)
Pages: 1429-40
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[Journal Article] Multifunctional transcription factor TFII-I is an activator of BRCA1 function2011
Author(s)
Tanikawa M, Wada-Hiraike O, Nakagawa S, Shirane A, Hiraike H, Koyama S, Miyamoto Y, Sone K, Tsuruga T, Nagasaka K, Matsumoto Y, Ikeda Y, Shoji K, Oda K, Fukuhara H, Nakagawa K, Kato S, Yano T, Taketani Y
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Journal Title
Br J Cancer
Volume: 104(8)
Pages: 1349-55
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