2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児網膜剥離の疾患概念の構築:Coats病の病因解明
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22591956
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
近藤 寛之 産業医科大学, 医学部, 准教授 (40268991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田平 知子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50155230)
内尾 英一 福岡大学, 医学部, 教授 (70232840)
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Keywords | Coats病 / 家族性滲出性硝子体網膜症 / NDP遺伝子 / 血管内皮成長因子 / Norrie病 / TSPAN12 / WNTシグナル |
Research Abstract |
小児に網膜剥離をおこす代表的疾患であるCoats病について、網膜剥離の発症機序に関する検討を継続した。Coats病は小児に特有の非遺伝性の疾患で、特異な滲出性の網膜剥離が特徴である。眼底所見が家族性滲出性硝子体網膜症と類似し、男児に多いことから、X染色体性家族性滲出性硝子体網膜症の原因遺伝子(NDP)の関与が想定されているが定説となるにはいたっていない。 Coats病症例に対して硝子体液または網膜下液中の細胞からDNAを採取し、MDP遺伝子の直接シークエンスを行い、遺伝子変異の検出を行った。アミノ酸をコードする遺伝子配列からは変異が見られなかった。現在検出精度の向上にむけ、high resolution melting curve解析を導入し、微量の変異DNAの検出が可能となるよう新たな実験を開始し、その予備実験を終えた。 また、Coats病症例より前房水、硝子体液、網膜下液から検体を採取し、血管内皮増殖因子の濃度を測定したところ、他の眼内増殖性疾患と比較して高値であった。また、部位により濃度の違いがみられ、この濃度勾配がCoats病特異な臨床像の形成に関与することが明らかとなった。 小児に網膜剥離をおこす代表な遺伝性疾患である家族性滲出性硝子体網膜症について、新たな原因遺伝子TSPAN12を同定し、日本人での遺伝子異常の頻度を検討した(Kondo et al.Am J Ophthalmol)。この遺伝子を含め、既知の4遺伝子について100以上の家系について解析を行い、各遺伝子の頻度や遺伝子中の変異の局在、臨床像との対比を行なった。既知の遺伝子が検出された家系は全体の40%であった。現在データベース作成に向け準備をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Coats病の病因診断では、直接シークエンスによる変異検出が困難であったために、新たな研究手法を導入した。条件設定や多数の予備試験に時間を要した。家族性滲出性硝子体網膜症に対する遺伝子解析はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな研究手法であるresolution melting curve解析を導入し、変異検出を行い、検出例については多数のサンプルをクローニングして、原因の同定を行う。また、アミノ酸をコード配列以外にも配列変化がないか検討する。家族性滲出性硝子体網膜症については、次世代シークエンサーを用いた全遺伝子解析など、網膜症の全体像の解明に向けて研究を推進する。
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Research Products
(15 results)