2011 Fiscal Year Annual Research Report
石灰化嚢胞性歯原性腫瘍由来CCOT細胞系における幻影細胞化と石灰化の分子機構
Project/Area Number |
22592033
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
程 [クン] 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40207460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 智 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30397161)
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
山崎 学 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10547516)
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Keywords | 歯原性腫瘍 / 石灰化歯原性嚢胞 / 幻影細胞 / 石灰化 / 細胞外基質 / 細胞培養 / 免疫組織化学 / RT-PCR |
Research Abstract |
前年度までの研究項目を継続し、以下の実験をおこなった。 1)組織学的解析:施設内外から収集しえた石灰化歯原性嚢胞または石灰化嚢胞性歯原性腫瘍CCOT症例について、詳細な病理組織学的検討を続けるとともに、免疫組織化学的な手段をもちいて、歯原性上皮細胞マーカとしてのケラチン分子種Keratin(K)5、K18、Kl9、amelogenin、enamelin、perlecan、heparanaseはじめ各種細胞外基質とその関連分解酵素、ALP、BSP等の石灰化関連分子を検索し、それぞれの発現様式を確認した。同時に、CCOT以外のエナメル上皮腫をはじめ歯原性良性腫瘍で、二次的悪性転化をきたした症例も取り上げ、ポドプラニンの歯原性腫瘍における発現様式を加えて、同様の解析をおこなった。ポドプラニン陽性は歯原性腫瘍細胞胞巣の基底細胞層を中心とした細胞増殖巣に近似した発現パタンをしめし、間質ECMのシグナル伝達を背景に成立した増殖性関与が明らかになった。しかし、幻影細胞におけるポドプラニン発現は確認されず、幻影細胞化過程で消失することからも、幻影細胞ではすでにECMシグナルの受容は行われていないことが判明した。 2)培養細胞の解析:昨年度までに樹立したヒトCCOT1-6細胞を、培養皿に植え込み、経時的に固定後、上記1)項で使用した同様の抗体種を免疫蛍光抗体法にて実施し、同時に、各株細胞からtotal RNAを回収してRT-PCR法を用いて、上記各分子の遺伝子発現状況も確定し、培養細胞はCOOT腫瘍性格と一致する結果が得られた。さらに、単層培養下でも幻影細胞の出現が確認されたが、幻影細胞とその周囲細胞ではポドプラニンが出現せず、組織レベルでの結果と一致した。現在、幻影細胞の出現に関連する分子を、ECM分子の分泌障害の視点から特定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に、交付申請書に記載した「研究の目的」を達成すべく、計画にしたがって研究を実施し、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に、COOTの幻影細胞にはECM分子が細胞質内蓄積を起こしていることが確認しえたので、今後、幻影細胞の性格づけの実験を開始し、幻影細胞の蓄積ECM分子の遺伝子発現状況、それらの分解プロセス・異常蛋白質構造の有無を検討し、本来細胞外に分泌されるべきECMが分解されず細胞質内に蓄積される仕組みを、培養細胞系を用いて解明していく予定である。
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