2011 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞の多分化能を制御する転写因子の機能解析
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22592068
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河本 健 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50224861)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 細胞分化 / 転写因子 / 再生医療 |
Research Abstract |
我々は・未分化な間葉系幹細胞(MSC)の制御を行う因子の候補として、9つの転写因子(SOX11, ETV1, ETV5, HMGA2, FOXP1, GATA6, KLF12, PRDM16, SIM2)を同定している。レンチウイルスベクターを用いてSIM2を過剰発現したところ、HMGA2とFOXP1の発現上昇1とGATA6の発現低下が見られた。一方、siRNAを用いたSIM2のノックダウンではその逆の動きが観察された。また、HMGA2の過剰発現では、SIM2の発現上昇とGATA6の発現低下が見られた。 このような結果から、特にGATA6の役割が注目された。GATA6の発現は、MSCの分化誘導後急激に低下することから、GATA6がMSCの未分化維持に必要であると考えられる。このときに、同時にいくつかのインテグリン(ITG)の発現低下が起こることがマイクロアレイの結果から発見された。そこで、すべてのインテグリンの発現変化を調べたところ、骨あるいは脂肪分化誘導後24時間以内ににITGA5, ITGA10の発現が上昇し、ITGA2, ITGA11, ITGB7の発現が低下するこ.とが明らかになった。siRNAを用いてGATA6の発現をノックダウンしたところ、ITGA10の発現上昇とITGA2, ITGA11, ITGB7の発現低下が認められた。GATA6の過剰発現では、ほぼ逆の現象が観察された。このようにGATA6の発現変化は、いくつかのインテグリンの発現の変化を引き起こす。このことは、MSCの未分化性の維持と分化誘導後の表現型に寄与しているこどが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は地震災害と関連して予算執行が不明確であったため、試薬購入などが予定より遅れた。しかし、過去のデータをじっくり検討するなどして研究全体はかなり進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を多面的に推進するために、転写因子だけでなく幹細胞の分化過程で機能する他の因子の役割についても検討したい。
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Research Products
(10 results)