2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄を介した破骨細胞分化調節機構の分子メカニズムを解明する
Project/Area Number |
22592069
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂井 詠子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10176612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30264055)
岡元 邦彰 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10311846)
西下 一久 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20237697)
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Keywords | ストレス / 発生・分化 / 歯学 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
HO-1が破骨細胞分化にどのように関わっているのか、以下の3項目に関して解析を行った。1、HO-1の発現誘導を行った場合の破骨細胞形成に対する影響2、ミトコンドリアストレスの指標としてカスパーゼ3の活性化の有無(HMGB1の細胞外遊離も含める)の検討3、HO-1の転写因子Nrf2活性化剤による破骨細胞分化抑制作用の解析 1、マウスHO-1遺伝子領域をpcDNA-DEST47とpcDNA-DEST53に組み換えた発現ベクターを構築した。マクロファージ系細胞株RAWDへ一過性に発現誘導したところ、破骨細胞形成が阻害された。 2、カスパーゼ3の活性化とHMGB1の遊離に対するHO-1の作用を調べた。核内蛋白であるHMGB1は、死んだ細胞から外に遊離し周りの細胞を刺激するサイトカイン様の働きを持つ。破骨細胞にはHMGB1受容体が存在し、細胞外HMGB1から刺激が入り破骨細胞分化が促進されることが報告されている。一方、HO-1はHMGB1の遊離を抑制することが報告されている。我々はRANKLによるHO-1の発現低下に伴いカスパーゼ3の活性化が促進し、HMGB1の細胞外遊離が促進することを見出した。RAWD細胞においてsiRNAでHO-1の発現を抑制するとカスパーゼ3の活性化とHMGB1の遊離が上昇した。反対にHO-1誘導剤であるヘミンやクルクミンを加えるとHO-1の発現が上昇しHMGB1の遊離は減少した。本結果はRANKLによるHO-1の発現減少がミトコンドリアストレスから細胞死を誘導し、死細胞からHMGB1が遊離することで破骨細胞分化が促進される可能性を示唆する。 3、Nrf2活性化剤の破骨細胞分化抑制効果 HO-1とFPNの転写はNrf2に調節されていることが報告された。Nrf2は第2相酵素群など酸化ストレスを軽減する抗酸化分子の転写因子である。イチゴポリフェノールのフィセチンやコーヒー豆成分のカウェオールなどNrf2活性化剤が破骨細胞分化を抑制することを明らかにした。
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