2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌細胞におけるガレクチン-1のアノイキス抑制機構の解析
Project/Area Number |
22592076
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
加茂 政晴 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (40214564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 明 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20356439)
帖佐 直幸 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (80326694)
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Keywords | 癌 / 歯学 / シグナル伝達 / タンパク質 / プロテオーム |
Research Abstract |
正常な上皮細胞では足場依存性のアポトーシスであるアノイキスを起こすため、上皮由来の腫瘍細胞が転移を起こすには、アノイキスを回避する必要がある。我々はこれまでに、ガレクチン-1(Gal-1)タンパク質が、ヒト口腔扁平上皮癌細胞において、アノイキスを抑制する因子であることを見出した。このタンパク質の作用を調べるために、ターゲットタンパク質の同定を行った。その結果、上皮成長因子の膜レセプターである、EGFRの糖鎖に結合することをプロテオーム解析、免疫沈降法およびフローサイトメトリーにより確認した。また、Gal-1存在化において単独ではEGFRのリン酸化や各種のシグナルの活性化は示さなかったが、EGF存在下では、Akt及びERKシグナルの増強が示された。従って、Gal-1のEGFRへの結合がEGFRからの細胞の生存のシグナルを増強させ、その結果としてアノイキスを回避していることが示された。他のシグナル経路の関与を探索するために、EGFR自身の種々のリン酸化を調べたが、これには変化は見られなかった。またアポトーシスに関与するJNKのリン酸化は、maltose処理によりGal-1を除去したHSC-3において、減少していることが示唆された。EGFRのシグナル増強のメカニズムを解析するために、EGFRのエンドサイトーシスへの関与を調べたところ、Gal-1はEGFRと共にエンドサイトーシスすることが示された。Gal-1の細胞局在化と発現機構の解析を行うため、蛍光タンパク質mCherryとの融合タンパク質および、同様なEGFP-Gal-1を作製し、HSC-3細胞で蛍光タンパク質として発現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)3月の東日本大震災による停電のために、培養細胞の死滅や実験のやり直しが必要になったこと。(2)その時期前後に研究場所の移転があったため研究時間が取得できなかったこと。(3)口腔扁平上皮癌細胞に対するTGF-βの作用の研究が進展したため、その研究に多くの研究時間を充てたため。(4)Flag-Gal-1安定発現細胞は増殖が非常に遅く、発現機構の解析に使用することが困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)細胞内シグナルに関しては、条件設定が出来たので、JNKとp38について行う。(2)扁平上皮癌細胞は、8株培養できており、解析を進めている。(3)EGFRのエンドサイトーシスの解析および発現機構の解析において、Gal-1の細胞内局在性を調べることが容易な蛍光タンパク質融合Gal-1を作製し発現できたので、これを利用して行う。(4)TGF-βにより上皮間葉転換(EMT)が引き起こされ、これにより癌の転移が起こることが知られている。いくつかの扁平上皮癌細胞がEMTを起こすことを見出したので、EMTにおけるGal-1の作用について研究を進める。
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Research Products
(13 results)