2010 Fiscal Year Annual Research Report
炎症による低酸素関連遺伝子・時計遺伝子DECのシグナル伝達の解析
Project/Area Number |
22592232
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
伊藤 由美 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (00176372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
バワール ウジャール 神奈川歯科大学, 歯学部, プロジェクト研究員 (50433339)
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Keywords | シグナル伝達 / 低酸素関連遺伝子 / 時計遺伝子DEC / 歯周病 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
生体の恒常性維持に重要な役割を果たす概日リズムの発振機構は、ほぼすべての細胞に内在する時計遺伝子の転写・翻訳フィードバックループ(体内時計)であることが明らかになった。さらにこの体内時計の障害は、炎症や腫瘍発生、また生活習慣病を含む様々な病態と密接に関連していることが解明されてきた。そこで口腔内の炎症病態の進展機構に関連した時計遺伝子の変化を明らかにし、低酸素関連遺伝子との関連性を検討した。初めにヒトから得られた慢性歯肉炎、慢性歯周炎、慢性潰瘍の組織における低酸素関連遺伝子の発現をリアルタイムPCRとウエスタン・プロット法を用いて解析したところ、正常歯肉に比し、炎症病巣では低酸素に関連する遺伝子であるHIF-1α、DEC1、DEC2のタンパク発現量が増加しており、さらにHIF-1αとDEC2の発現量には相関が認められた。次にヒト歯肉線維芽細胞および上皮細胞に、炎症性サイトカインであるIL-1βを添加して培養を行い、低酸素に関連する遺伝子(CA9,ADM,VEGF,PGK1,DEC1,DEC2)のmRNA発現量を経時的に観察したところ、DEC2に概日リズムを認めた。さらにIL-6,TNF-αでも同様の結果を得た。DEC2は体内時計のコア遺伝子であるBMALタンパク質およびその結合領域であるE-box配列(CACGTG)と直接結合し、時計遺伝子の発現を抑えることから、DEC2は口腔内の炎症時に概日リズムを制御し、炎症の進展や治癒に影響を与えている可能性が明らかとなった。炎症の制御機構における時計遺伝子の関連を明らかにすることは、時計遺伝子の制御を介した新たな試みである抗炎症療法の開発につながることが強く期待される。
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Research Products
(4 results)