2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規アポトーシス制御因子GRIM-19の発現制御機構の解析
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22592244
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
森 一将 明海大学, 歯学部, 講師 (80372902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 喜弘 明海大学, 歯学部, 教授 (50194311)
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Keywords | 扁平上皮癌 / アポトーシス / GRIM-19 / STAT3 / IFN |
Research Abstract |
GRIM-19(the genes-associated with retinoid-interferon induced mortality)はインターフェロンβ(IFNβ)およびレチノイン酸(RA)の共刺激により誘導されるアポトーシス制御因子である。GRIM-19は,EGFなどの成長因子のシグナル伝達に関与する転写因子STAT3(Signal Transducer and Activator of Transcription 3)と結合し,STAT3依存性の遺伝子発現を抑制することにより癌細胞の増殖を抑制し,アポトーシスを誘導する. これまで研究代表者らは口腔扁平上皮癌細胞株におけるGRIM-19遺伝子の発現制御機構ならびにGRIM-19遺伝子の不活性化のメカニズムの解析を行ってきた。その結果、Ca9-22細胞ではIFNβ,RAによる共刺激でタンパク質レベルでのGRIM-19の発現が誘導された。一方、HSC-2細胞ではIFNβおよびRAの共刺激でGRIM-19の発現は認められず、遺伝子発現の不活性化が示唆された。そこでIFNβおよびRA刺激によるGRIM-19のmRNA発現に違いが認められるのか、リアルタイムPCRにて検討行った。その結果、予想に反してCa9-22細胞においてもIFNβ,RAによる共刺激12時間、24時間での有意なGRIM-19のmRNAの発現誘導は認められなかった。これらの口腔癌細胞株におけるGRIM-19遺伝子発現の非誘導性がIFNβに対する不応答性に起因しているのか、他のIFNβ誘導性遺伝子であるCXCL11、TRAILについて検討した。その結果、いずれの細胞においても有意なmRNA発現誘導が認められたことから、IFNβのシグナル伝達経路の異常によるものではないことが示唆された。Ca9-22細胞ではIFNβ,RAによりGRIM-19のタンパク質レベルでの発現誘導が認められることからGRIM-19の誘導には転写後の調節機構が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GRIM-19遺伝子の発現誘導が転写レベルでの制御機構によるものであるとの仮説で本研究課題を遂行していたが、遺伝子発現解析等から転写レベルではなく、転写後の制御による可能性が出てきたため当初予定していた解析が行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析結果から口腔癌細胞におけるGRIM-19の発現が、転写レベルではなく転写後の制御機構による可能性が出てきた。この後の本研究課題の推進方策として、このIFNβ,RAによるGRIM-19のmRNAの非誘導性が口腔癌細胞など悪性腫瘍に認められる特徴なのか明らかにするため、正常ヒト口腔粘膜上皮細胞におけるGRIM-19の遺伝子発現について検討を行う。またCa9-22細胞で認められるGRIM-19のタンパク質レベルでの発現誘導がどのようなメカニズムにより制御されているのか、転写後の制御機構についても検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)