2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロフェッショナルケアによる舌清掃が一般成人の口腔内状況に及ぼす影響
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22592343
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
岸 光男 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (60295988)
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Keywords | 舌清掃 / 舌苔 / 口臭 / プロフェッショナルケア / 歯周病原性細菌 |
Research Abstract |
1.前年度の臨床研究から得た歯垢試料と舌苔試料の細菌学的評価を行った。すなわち、前回の研究で採取したそれら試料からゲノムDNAを抽出し、それらをFusobacterium nucleatumおよび16S rRNAの保存領域に特異的なプライマーを用いた定量的PCR法に供し,後者を総菌量とした。専門的舌清掃前と清掃3日後における歯垢と舌苔中のそれら細菌量を比較検討した。両時点における舌苔と歯垢の細菌量、VSCs濃度およびWTCIの関連をSpearmanの順位相関分析で検討したところ、両時点とも有意な関連が見られたのは歯垢中総菌量と舌苔中総菌量および舌苔中総菌量と舌苔中F.nucleatum量の関係であった。一方、舌苔中と歯垢中のF.nucleatum量の関連は、清掃前には有意だったが、清掃3日後では認められなかった。また、VSCs濃度は清掃前に、舌苔中ならびに歯垢中のF.nucleatum量に対して有意ではないが強い相関の見られた(対舌苔中F.nucleatum量:ρ=0.456,p=0.057;対歯垢中F.nucleatum量:ρ=0.427,p=0.078)が、清掃後には関連が認めらず、WTCIとのみ関連した。以上の結果から、舌苔と歯垢の形成速度には差があり、歯垢形成初期には先に成熟した舌苔からF.nucleatumなどの常在菌が歯垢に供給されているのではないかと考えられた。また、舌苔、歯垢とも成熟程度によって、口臭へ及ぼす影響が異なる可能性も示唆された。 2.舌清掃習慣については日本と中国の大都市部でWeb調査によるアンケートを行った。その結果、日本よりも中国の方が舌清掃習慣を持つ者が多く、かつ舌清掃指導を受けた経験を持つ者が多かった。これらから、日本よりも中国で医師、歯科医師、歯科衛生士が舌清掃に関する情報を高頻度に提供していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
専門的舌清掃の効果はセルフケアと比較して、舌苔付着、口臭抑制などに対して高いことを証明してきた。一方、舌清掃自体の口腔保健全体への寄与に関するさらなる検討が必要と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度のクロスオーバー研究では専門的舌清掃の対照をセルフケアに設定したため、舌清掃の効果が不明瞭にしか示されなかった。本年度は対照群を「非舌清掃群」とし、再度同等の検討をして舌苔と歯垢の関連を明確にし、舌清掃の臨床的意義を確立することを目的とする。
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Research Products
(5 results)