2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜上皮細胞における癌関連遺伝子発現への口臭物質の影響
Project/Area Number |
22592349
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
村田 貴俊 鶴見大学, 歯学部, 寄附講座准教授 (10313529)
|
Keywords | 癌関連遺伝子 / 硫化水素 / 歯肉上皮細胞 / 歯肉癌細胞 |
Research Abstract |
ディファレンシアルディスプレイ法により、健康歯肉由来上皮角化細胞と歯肉扁平上皮癌由来Ca9-22で発現に差が認められる、14の癌関連遺伝子候補をすべて同定した。次に、これらのうちThe National Center for Biotechnology Informationデータベースでアポトーシスをキーワードに検索したところ、いくつかの遺伝子がヒットしたなかで、pleckstrin homology-like domain,family A,member 1(PHLDA I)に焦点を当てた。このPHLDA1はリアルタイムPCR法、ウェスタンブロティング法によりCa9-22で明らかに発現が昂進していることを明らかにした。また、蛍光免疫染色法による形態観察によりこの遺伝子産物が細胞質に広く分布していることを明らかにした。 PHLDA1はハイブリドーマにアポトーシスを誘導した際に発現が上昇する遺伝子として見出された。しかしながら、アポトーシス誘導に直接関与しないことがノックアウトマウスを用いた研究から明らかにされている。とはいえ、幾つかの研究報告からアポトーシスの発現を調節していることは間違いない。本研究でも、Ca9-22にアポトーシスを誘導する硫化水素曝露によりCa9-22のPHLDA1遺伝子発現が上昇する知見を得ている。一方、健康歯肉由来上皮角化細胞では同条件の硫化水素曝露では、アポトーシスを起こしにくく、PHLDA1遺伝子発現の変化もほとんどない。今後、PHLDA1遺伝子の特徴を調べることでアポトーシス誘導および、癌細胞における硫化水素の生態作用を明らかにする一助になると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画ではディファレンシアルディスプレイ法による癌関連遺伝子候補の同定、および実際の遺伝子発現の差をreal time RT-PCR、ウェスタンブロッティング法で調べる予定であったが、両法で差が認められた遺伝子としてPHLDA1を同定できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
健康歯肉由来上皮角化細胞と歯肉扁平上皮癌由来Ca9-22でPHLDA1遺伝子の発現に大きな差が認められた。今後、それぞれの細胞で硫化水素を曝露した際のPHLDA1遺伝子の発現挙動を確定する。さらに、口腔内細胞における硫化水素曝露の生態作用をアポトーシス誘導とPHLDA1遺伝子を介した情報の調節という視点から研究を推進する。
|