2010 Fiscal Year Annual Research Report
実習にケアリング教育を導入するための基礎的研究-学生教員間の相互作用に着目して-
Project/Area Number |
22592365
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
月田 佳寿美 福井大学, 医学部, 講師 (50303368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 明子 福井大学, 医学部, 教授 (30303366)
漆崎 誉子 福井大学, 医学部, 助教 (00554552)
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Keywords | ケアリング / 実習 / 教育 / 相互作用 / カリキュラム |
Research Abstract |
平成22年度は, 教員が実習の中で行っている学生に対するケアリングを明らかにする目的で,教員に対する質問紙調査とインタビューを実施した。 【質問紙調査】看護系大学に勤務する教員500名を対象に,質問紙調査を実施した。調査は23年3月に実施し,96名から回答が得られた(有効回答率19.2%)。助手から教授まで幅広い職位から回答が得られた。ケアリングが大学の教育理念やカリキュラムに位置づけられているのは21.9%だった。92.7%は学生に対するケアリングは重要であると考えていたが,実施しているのは59.4%だった。学生の成長に関わることができ,自分も成長を感じた体験は72.9%がありと答えた。しかし実習の果について満足している教員は67.7%で,満足していないと答えたかった。以上の結果より,多くの教員は職位に関わらずケアリングは重要だと考えており,何らかのことを行っていた。学生の成長に関われた体験のある教員も多かったが,実習の成果には満足していない教員も多いことが分かった。 【インタビュー】看護系大学に勤務する教員10名を対象にインタビューを実施した。調査は23年3月に実施した。職位は全員助手または助教で,教員の経験年数は1~12年だった。質問の内容は,「学生に対してどのようなケアリングを行っているか」などで,インタビューは1時間程度実施した。インタビューの内容は逐語録を成し,質的に分析した。教員は実習目標を達成するため,早い時期から学生を観察し,『個性を把握』しようとしていた。気になる学生には,その子の個性や声をかけるタイミング,状況を考えて『声をかけて』いた。またすべての学生と,一日一回は何らかのかたちで『話をする』ようにしていた。青年期の学生の患者や看護師と付き合っていく上での『負担感を取り除く』など,『外回りの環境を整え』ていた。また,学生が患者のケアや自分自身の課題について考えていけるように,『考える範囲を限定』したり,『ポイントを示し』なりしていた。 質問紙調査とインタビューから,教員が行っているケアリングを掘り起こし,記述するという目的はある程度達成された。データを増やし,信頼性を高めるため,平成23年度も同様のインタビューを継続する予定である。
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