2011 Fiscal Year Annual Research Report
腰痛発症リスク予見のための移動援助動作評価ツールの開発と実用化の検証
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22592372
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿曽 洋子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80127175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊部 亜希 大阪大学, 医学研究科, 助教 (80452431)
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Keywords | 腰痛発症リスク / 移動援助動作評価ツール / 足底荷重値 / 腰部椎間板圧迫力 / 上方移動援助 / 採点者内信頼性 / 採点者間信頼性 / 総合得点 |
Research Abstract |
本研究の目的は、看護師が日常的に実施する移動援助動作(ベッド上の患者の位置を変える、ベッドから車椅子へ移乗させる援助など)に着目し、動作経済の法則をもとに、移動援助動作の筋骨格への負担の程度を客観的に評価できるツールを開発し、看護師の筋骨格負担に関する実態を明らかにすることである。平成22年度では、上方移動援助時において、評価ツールの総合得点と腰部椎間板圧迫力との間に有意な負の相関が認められ、妥当性が確認できていた。平成23年度では、上方移動援助を評価する際における評価ツールの信頼性を、ビデオ映像を用いた方法と、直接援助を目視する方法の2通りの方法で検証した。ビデオ映像を用いた方法では、3名の看護系大学教員および研究者1名による採点結果から、採点者内・採点者間信頼性を検証した。その結果は、ICC(2,1)=0.52、ICC(2,1)=0.33であり、採点者内・採点者間のいずれの信頼性も認められなかった。次に、援助を直接目視する方法での実験を行った。採点者は、看護技術に関する研究を行っているもの5名であった。この5名の採点結果化から、ICC(2,1)=0.82、ICC(2,1)=0.78という結果が得られ、採点者内信頼性および採点者間信頼性の両方が確認できた。このことから、上方移動援助時における腰部負担を評価できる評価ツールが完成した。 一方、平成22年度時点で解析中であった、車椅子への移乗における腰部負担とツールの妥当性に関しては、すべての解析を修了したが、腰部椎間板圧迫力および足底荷重値のいずれにおいても有意な相関は確認できなかった。今後、腰部椎間板圧迫力の算出モデルやツールの改良を行い、より車椅子移乗に特化した解析方法を構築し、評価ツールの車椅子移乗版としてあらためて取り組んでいく必要がある。 平成24年度では、妥当性および信頼性が確認できた、評価ツールの上方移動版を用いて、臨床現場における看護師の腰部負担の実態調査を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上方移動援助に関してのみではあるものの、妥当性と信頼性の双方が確認でき、実際に使用可能であるアセスメントツールを開発することができ、論文や学会等での発表も実施することができた。また、平成24年度に実施する、臨床現場での調査研究の計画も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成24年度では、評価ツールを用いた実態調査を行い、その結果を学会や論文等で発表していく予定である。車椅子移乗に関する部分は、解析モデルの開発から改めて実施していく必要があるため、共同研究等も視野に入れ、長期計画を立てて取り組んでいく必要があると考えている。
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Research Products
(4 results)