2011 Fiscal Year Annual Research Report
施設高齢者の残尿及び尿失禁改善の為のリハビリテーションプログラム開発に関する研究
Project/Area Number |
22592377
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
佐藤 和子 大分大学, 医学部, 教授 (00196221)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
影山 隆之 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (90204346)
原田 千鶴 大分大学, 医学部, 教授 (80248971)
宮崎 伊久子 大分大学, 医学部, 講師 (30347041)
加藤 美由紀 大分大学, 医学部, 助教 (20381080)
永松 いずみ 大分大学, 医学部, 助教 (50347019)
|
Keywords | 排尿ケア / 施設入所高齢者 / 尿失禁 / 残尿量 / 排尿リハビリテーション |
Research Abstract |
【目的】尿失禁・残尿量を改善するためのリハビリテーションプログラム(以下リハプログラム)を作成し、施設入所高齢者に適用し評価する。 【方法】1.作成したプログラムにもとづいて日常生活行動を支援するとともに、日中に2回、集団でもリハプログラムを実施した。2.運動開始前、3週間後、6週間後に以下のデータを収集し、リハプログラムの効果を評価した。(1)残尿量を超音波膀胱容量測定器で連続3日間測定(2)失禁の有無、失禁量、失禁率、排泄動作の変化を比較(3)アクチグラフを連続72時間、非利腕の手関節部に装着し、活動量と睡眠覚醒パターンを評価(4)測定期間中、排尿日誌を記録 3.対象:介護老人保健施設に入所している70歳以上の尿失禁のある高齢女性6名。そのうち3名を分析の対象とした。 【結果】1.排尿関連項目:残尿量は、介入後に改善が見られたのは1名で、他の2名は変化は見られなかった。3名とも尿失禁があり、失禁量には顕著な改善は見られなかった。夜間の失禁量は、1名が減少していた。失禁率は、2名が介入前より改善していた。2.睡眠状態:睡眠状態は、2名に昼間の睡眠時間が減少し、夜間の睡眠時間は3名とも増加した。覚醒状態では中途覚醒、睡眠潜時間が減少していた。3.活動状態は、3週間後に日中の活動量が増加し、介入前より2名が増加していた。 【考察】排尿関連項目、睡眠・活動項目において、3週間後から効果が表れているものの、個人差があった。しかし、睡眠時間や日中の活動量は増加しており、声をかけ毎日訓練することによって、骨盤底筋訓練動作が身につき、自主性も高まり、習慣化されていく傾向がみられたことから、継続できる環境の整備、支援の必要性が示唆された。 【結論】リハプログラムは概ね効果が見られるが、継続評価することが必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的では、尿失禁・残尿量を改善するためのリハビリテーションプログラムを作成・洗練化し、多数例に応用する予定であったが、プログラムの作成に時間がかかったこと、対象者の都合による中断(予期せぬ早期退所・転院、対象者が途中で機器を外す)、アクチグラフのトラブル(データのキャプチャーの不具合)などにより、予定例数には満たなかった。プログラムは概ね良好であるが、対象者が実践しやすい環境づくりや方法など、さらに何点かのプログラムの修正の必要性が確認された。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度が最終年度であるため、目標を達成するために、今年度作成した尿失禁・残尿量リハビリテーションプログラムを洗練化し、データの蓄積を図る。今年度は、測定機器のアクチグラフの数が少ないこと、また、上述したような対象者の都合による中断を避けるため、対象者の気分や認知状態により一層配慮するとともに、確実性・計画性のあるデータ収集に努める。進行状況によっては、アクチグラフのレンタルも検討する。同時に、これまでの知見をもとに、パンフレットづくりを早期から計画的に進める。
|