Research Abstract |
本研究は,看護実践としての新人看護職員のためのコミュニケーション技術実践プログラムを開発し,その有用性を検証することである.今年度は新人看護師のコミュニケーション技術の能力を育成させる教育方略として,双方向学習教材を活用した研修を展開しその評価を行った.調査時期は2011年10月.新人看護師132名を対象に自己記入式の調査票を配布した.調査項目はプログラムの評価及びコミュニケーション技術の自己評価等である.倫理的配慮は無記名とし書面での同意を得た.119名(90.2%)を分析対象とした. 1.プログラムの評価:コミュニケーション技術の基礎と応用の実践,自分を守る・先輩看護師とのコミュニケーションなどの内容に満足していた.看護師・医療チームに必要なコミュニケーション等について理解し,疼痛を有する患者とのコミュニケーション,検査を説明するビデオ,他の受講生の演示・フィードバック等が効果的としていた. 2.コミュニケーション技術の自己評価:4月の就職時に比べて上達しているが,もっとコミュニケーション教育を受けたいとしていた.言語的でよく使う割合は,お礼や挨拶を言う93.3%,今から行うことを言う63.2%,開かれた質問34.5%,理解・安心を示す33.9%等であった.非言語的でよく使う割合は,うなずき88.2%,微笑84%,患者に近づく74.6%,アイコンタクト57.6%,タッチング53.8%であった.困難点では,患者とゆっくり話す時間が持てない,知識がないので患者の質問に答えられない,忙しくてそのまま患者を待たせてしまう,患者の悩みまではなかなか聞けない等であった. 基礎編と応用編,患者及び先輩看護師とのコミュニケーションから構成し,双方向学習教材を活用することで,自己のコミュニケーションを客観的に振り返る機会となっていた.また,新人看護師は,お礼や挨拶,事前の説明および非言語的コミュニケーションを使用し,患者とのコミュニケーションを図る中で,時間の捻出や専門的知識に裏付けられた返答などの課題を持っていた.これらを踏まえた教育の必要性が示唆された.
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