2011 Fiscal Year Annual Research Report
思春期の「性の健康」に対する認識とセルフケア行動を高める支援方法の開発
Project/Area Number |
22592491
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
桑名 佳代子 宮城大学, 看護学部, 教授 (70154531)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 芳子 宮城大学, 看護学部, 教授 (20299788)
鹿野 裕美 宮城大学, 看護学部, 准教授 (40510631)
|
Keywords | 思春期 / 性 / 健康 / 性教育 / セルフケア / 月経 |
Research Abstract |
思春期は二次性徴を受容し性とともに生きる自己を確立する重要な時期であり、「性の健康」の意味を正しく理解し、自己の意志で性に関するセルフケア行動がとれることを目指した支援方法を検討することを目的とする。平成22年度から平成23年度にかけて「高校生の『性の健康』への認識と性の健康問題に関する基礎的研究」として行った質問紙調査(高校生1~3年の男女631名が対象)では、「性の健康」への関心度は男女ともに低いことが認められた。また、女性の月経に対する認識および男性の射精に対する認識に否定的認識が多いことが注目され、特に女性の月経に関する対処や健康問題が明らかとなった。そこで、平成23年7月に「思春期におけるSEXUALITYの健康」という冊子を作成し、冊子を活用した講演会形式の健康教育を実施し、「性の健康」への関心度・認識の変化を調査した。1回の講演会であっても、「性の健康」への具体的な認識を高める効果が認められ、学会で報告した。また、月経に関する健康課題への介入として、「女子高校生における月経セルフケアへの健康教育プログラムの有効性の検討」というテーマで倫理委員会承認を得て、高校3年生の女子生徒を対象とした5回シリーズの「月経セルフケア講座」を実施した。基礎体温測定を取り入れ、講座開始前から受講後までの質問紙調査により、「性の健康」や「月経」への関心度・認識の変化、基礎体温測定に関わる動機と測定行動との関連を分析した。しかし、この講座への参加者が14名と少なく、平成24年度も同様に実施して例数を重ね、高校生の特徴を明らかにしたい。参加者14名中、基礎体温測定行動を継続できた者(約2周期)は1名のみであり、筆者の大学生を対象とした先行研究の継続群24.4%と比較しても、高校生では基礎体温測定への動機づけが難しいことが明らかとなった。また月経への関心度・認識、セルフケア行動に明らかな効果は認められなかった。しかし、「性の健康」への関心度、自分のPMSへの認識は上昇傾向がみられ、基礎体温を継続できた者は大学生と高校生ともに測定への意志の強さ、楽しい・役立つイメージ等が共通していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年度より県内の高等学校を選定して協力の打診を行っていたが協力を得られず、平成23年2月に協力が得られる高等学校を選定することができ、平成23年度は段階的に2つの調査を実施した(基礎的調査および介入研究)。しかし、介入研究は予定していた例数が得られず、平成24年度も同様の方法で例数を重ねる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
思春期はライフサイクルの中でも、「性の健康」の認識と自己のセクシュアリティに関するセルフケア行動の基盤を育む初期過程として重要との考えのもと、小学中学年~中学生・高校生を対象とした支援方法を検討する計画であった。第1段階に、高校生を対象とした基礎的資料を得る調査を実施したが、協力校を得ることに時間を要した。協力校においては、学校長、保健体育教諭、養護教諭との話合いを重ねて実施することができた。第2段階どして、基礎的調査から明らかとなった女子高校生の月経に関するセルフケア行動への介入研究を実施した。研究遂行には、課外での日程・時間調整、保護者からの同意書、フォローアップ体制等の丁寧な配慮を行ったが、受験に支障がない対象との条件から参加者が限られた。以上の状況から、中学校・小学校の研究協力は困難が予測される。また、現在までの調査により、高校生の「性の健康」への認識およびセルフケア行動には、予測よりも課題が多いことが明らかとなった。そこで、研究対象を高校生に絞ることに変更し、高校生への支援方法を検討したい。
|