2010 Fiscal Year Annual Research Report
介護老人保健施設におけるケア職者と家族の協働による在宅支援指標の開発と検証
Project/Area Number |
22592580
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉本 照子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 教授 (40294988)
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Keywords | 介護老人保健施設 / 在宅支援 / 家族 / ケア職者 / 協働 / 高齢者 / 老年看護学 |
Research Abstract |
【目的】国が在宅ケアを推進する中で、介護老人保健施設(老健)における、要介護高齢者の「在宅復帰・在宅生活支援(在宅支援)」への役割期待は大きい。しかし、家族介護者の高齢化や少子化等により、多くの老健で在宅支援が困難になりつつある。こうした状況に対する本研究の目的は、老健のケア職者が家族との協働に向けて実施している在宅支援の内容を明らかにすることである。 【調査方法】ネットワークサンプリングにより、在宅支援に関する組織的な取り組みを行っており、協力依頼に対する承諾の得られた老健3施設を抽出し、各施設の経験1年以上を有する看護職3名、介護職4名、PT1名・OT2名、支援相談員1名および看護管理者各2名を研究協力者として選定した。家族と協力して在宅支援を行い、利用者の退所後の生活に問題がなかった事例、非効果的な結果となった事例における在宅支援の内容と効果等について、半構造化個人面接調査を行った。逐語録をもとに、各施設・各職種の在宅支援の内容についてカテゴリー《》・サブカテゴリー<>を導き、予備検討の結果と比較検討した。 【結果】3施設の各職種の共通した在宅支援の内容は、《家族・多職者が協働できるように専門職としての情報や判断を伝える》であり、加えて、看護職では<効果的な退所指導のために多様な在宅生活の状況を看護・介護職者に伝え共有する>、PT・OTでは<家族が意思決定できるようにリハ職としてできることを提示する><ADLの向上が困難でも在宅生活の可能性の観点から意見を述べる>等、介護職では<利用者の変化する在宅への意向を把握し支持する>が抽出された。 【意義】今回の成果は老健の各ケア職者が家族に自らの支援内容を明示し、相互の役割の明確化や家族との信頼関係の構築により、家族・利用者の在宅生活に関する意思決定を支援しうることを示している。
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