2010 Fiscal Year Annual Research Report
精神科デイナイトケアにおける感情活用能力促進プログラムの開発と有効性の評価
Project/Area Number |
22592619
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小谷野 康子 順天堂大学, 医療看護学部, 講師 (50307120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 真巳 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (30209952)
森 真喜子 北里大学, 看護学部, 准教授 (80386789)
小泉 仁子 筑波大学, 大学院・医学群看護科学系, 准教授 (20292964)
立石 彩美 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (00514861)
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Keywords | 情動知能 / 感情知性 / 情動コントロール / マインドフルネス / 弁証法的アプローチ / 抑うつ / 感情変容 / 精神科デイケア |
Research Abstract |
精神科外来通院中のデイナイトケアを利用する神経症圏及びうつ病圏の患者を対象とした「感情活用能力」促進プログラムの開発とその有効性の評価を本研究の目的とする。3年計画初年度の22年度は、情動知能Emotional Intelligence(EI)の理論がどのような分野で、どのように用いられているのか文献検討を実施するとともに、先行研究(小谷野、2007)のEmotional Literacy開発プログラムを修正し治療としてのプログラムを考案した。 先行研究のプログラムは、EI理論(Salovey, P., & Mayer, J.D.1990.)に依拠し、感情管理を強調している。EI概念は優れたリーダーは対人関係に長けているということからビジネス社会で主に用いられていたが、1990年代から米国の子供の予防教育としてSocial and Emotional Learning(SEL)と呼ばれる子供の健全な心を育成する方法として用いられるようになった。また矯正教育の場である薬物依存者の社会復帰施設AMIYなどで、感情に徹底的に向きあうグループにおける心理療法としてこの概念が用いられている。しかしながら情動知能は感情をコントロールすることに力点が置かれているため、否定的感情に対する表層的な対処法が中心に構成されており、感情生活に困難をきたしている患者にとって、これだけでは治療プログラムとして馴染みにくい。 そこで本年度は、先行研究の感情管理型プログラムを改変し、弁証法的アプローチにより感情管理による「変化」を求める内容と、今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚して、それに対する思考や感情には囚われないでいる心の持ち方を促進する「受容」という両極の内容を統合し、感情の変容にむけたプログラムを開発した。本プログラムは、弁証法的行動療法やマインドフルネス認知療法の内容を参考にし、うつ病の再発予防プログラムとして精神科デイナイトケアで活用が期待される。次年度以降プログラムの見直しと介入による評価を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)