2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規疼痛関連リン酸化酵素情報伝達マップ:リン酸化プロテオミクスによる痛み表情解析
Project/Area Number |
22600001
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
栗原 崇 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (60282745)
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Keywords | 痛み / プロテオーム / シグナル伝達 / 脳・神経 / 酵素 |
Research Abstract |
本年度は、申請者らが最近脊髄および後根神経節において見出した新規疼痛関連プロテインキナーゼであるカゼインキナーゼ1ε(CK1ε)について、1)様々な疼痛モデルにおけるCK1εの発現調節機構、および2)CK1ε情報伝達系の下流タンパク質群の検索を集中的に行った。 1)後根神経節においては、感覚神経損傷後3日目よりCK1εタンパク質の発現上昇が認められたが、急性炎症発症後6時間、あるいは遷延性炎症発症後3日、7日、14日においても、CK1εタンパク質の有意な発現変動は認められなかった。この結果から、CK1εタンパク質発現上昇機構には炎症関連メディエーターの関与は少ない可能性が考えられた。 2)神経因性疼痛モデルマウス脊髄におけるリン酸化プロテオミクス解析を行い、CK1ε標的タンパク質群の検索を試みた結果、複数の標的タンパク質候補を同定できた。その内の1つの標的タンパク質候補に対する阻害剤が利用可能であったので、神経因性疼痛発症後2週間以上経たマウスの髄腔内に投与し、神経因性疼痛行動に対する効果を検討した。その結果、この阻害剤は10~100pmolの用量で、濃度依存的に機械的アロディニア症状および熱性痛覚過敏症状を数時間にわたって寛解することが示された。現在このタンパク質の感覚神経損傷に伴う発現変動を検討中である。また、炎症性疼痛モデルマウス脊髄におけるプロテオミクス解析も進行中であり、炎症時に発現変動を示すタンパク質群の同定、神経因性疼痛との差異の検討を重ねている。
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