2011 Fiscal Year Annual Research Report
自然離れ克服のために自然史博物館が地域のコーディネーターとして果たす新たな役割
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22601016
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
山西 良平 大阪市立自然史博物館, 館長 (70132925)
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Keywords | 自然史博物館 / 大阪湾 / 市民参加 / 潮間帯生物 / ウェブサイト |
Research Abstract |
大阪湾環境再生連絡会が主催する「第4回大阪湾生き物一斉調査」(平成23年6月3・4日実施)に大阪湾海岸生物研究会と共に参画し、市民団体による調査を博物館の立場でサポートした。この調査には湾内18地域において931が参加した。参加者は年々増加している。このうち10地域から講師派遣の依頼があり、大阪湾海岸生物研究会から合計20名の講師を派遣し、調査の精度を高めるとともに海の生き物の魅力を一般参加者に伝えた。一斉調査の実施に先立って、調査のリーダーを対象に和歌山市加太海岸などで合計6回の生物観察に関する研修を実施し、大阪市立自然史博物館の学芸員3名が指導に当たった。 一斉調査の結果、合計392種の生物が記録された。その中には51種の貴重種(レッドリスト掲載種など)が含まれていた。今回は前年にキタフナムシが大阪湾内で初めて記録されたことから、湾全域でキタフナムシを探すことを共通テーマとして設定した。各調査地で採集したフナムシのサンプルを6月に博物館に持ち寄り、同定作業を行なった結果、2カ所でキタフナムシの新産地を見つけることができた。このような一斉調査の成果は、9月23日に大阪市立自然史博物館において結果発表会を開催することによって、参加者の間での共有化を図った<出席者約70名>。 平成25年度が大阪湾再生行動計画の最終年となることから、この年度を大阪湾フォーラムや大阪湾生き物一斉調査の総仕上げの年と位置づけ、当博物館において大阪湾をテーマとした特別展を開催することとした。また、大学関係者とともに国土交通省、市民団体などに呼びかけて、その前年からの2年間を「大阪湾 Years 2012-2013」として、大阪湾に関するさまざまなイベントを展開する枠組みを創出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生き物一斉調査や資料のデータベース化とその公開などの作業は順調に進展しているが、申請当初、平成24年度に開催を予定していた大阪市立自然史博物館における特別展の開催は、関係各方面との調整の結果、1年遅れて平成25年度の開催予定となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
大阪湾をテーマとした特別展の開催は1年遅れとなったが、平成24年度にはそのプレイベントとして、生態系工学研究会との共催による自然史オープンセミナーを秋に3回連続で開催することとなった。 また、湾岸域の博物館・水族館(神戸市立須磨海浜水族園、西宮貝類館、海遊館、きしわだ自然資料館、員塚市立自然遊学館)にも呼びかけて、大阪湾をテーマとした特別展を連携して実施し、「大阪湾 years 2012-2013」を実効あるものとする取り組みを進めている。このように設置者が異なる、一地域の博物館・水族館が共通のテーマに基づいて展覧会やイベントを連携して開催できれば画期的であると考えられる。
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