2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム障害の遂行機能と脳内化学物質の研究
Project/Area Number |
22610001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀 孝文 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (40241822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 信也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60251005)
小川 俊樹 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60091857)
三森 文行 独立行政法人国立環境研究所, 研究員 (90125229)
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Keywords | 広汎性発達障害 / アスペルガー症候群 / 遂行機能 / 心の理論 / MRI / MRS |
Research Abstract |
自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder;ASD)は社会性が障害され、人間関係の構築が困難なため、思春期前後から「引きこもり」などの問題が顕在化して慢性に経過する原因不明の精神疾患である。本研究は、ASDの社会性の障害に関わる前頭葉の遂行機能と脳内化学物質の関係を調べ、障害の特徴を明らかにして新たな治療法の開発の基礎を築くことが目的である。平成22年度にはアスペルガー障害の3名の男性被検者をリクルートし、心理検査とMRI検査を行った。その結果、知能検査(WAIS-IIIまたはWISC-III)では3名の平均がFIQ 97.3、VIQ 105.3、PIQ 88.7と全IQは平均であり、また言語性と動作性に乖離がみられ、言語性優位であった。また、前頭葉機能検査(FAB)では平均17点/18点でほぼ満点であった。しかし、遂行機能検査(BADS)では15.3点/24点であり、3名とも全般的区分は平均下となっていた。遂行機能は障害ありの程度ではなかったが、知能検査と前頭葉機能検査が平均に達しているのに比して平均下であり、遂行機能の低下が示唆される結果であった。このような被検者における前頭葉の形態と脳内化学物質を調べるためにMRI検査を行った。検査は国立環境研究所において4.7テスラのVARIAN社製MRI装置を用いて行った。全脳の水平断をT1強調画像で撮像し、内側前頭葉皮質の2x2x2cm^3のMRSを撮影した。目視法によって、脳の形態の異常は認められなかった。MRSについては、正常対照群と比較検討することが必要であり、症例数も少ないため今年度は解析を行っていない。平成23年度はさらに症例数を増やし、同時に正常対照群もエントリーして比較検討を行えるようにする。
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Research Products
(1 results)