2011 Fiscal Year Annual Research Report
難病の子どもの居場所を創造するアクションリサーチ-日本型子どもホスピスの探求-
Project/Area Number |
22610010
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱田 裕子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60285541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 義晶 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80345529)
藤田 紋佳 九州大学, 医学研究院, 助教 (10437791)
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Keywords | 小児緩和ケア / 子どもホスピス / アクションリサーチ / 医療・福祉 / トータルケア / 小児看護 / 家族看護 |
Research Abstract |
1)先進国の状況把握:ホスピスケア先進国のアメリカ合衆国イリノイ州にあるホスピス関連施設視察(5/3~5/11):Heart Land Hospice, Rainbow Hospice, Joliet Area Community Hospice, Loutheran General Children's Hospital等を見学し、子どものホスピス、小児緩和ケアの実際について学んだ。 2)難病の子どもとその家族の病気体験およびケアニーズに関する研究:難病の子どもとその家族5組を対象に病気体験および子どもの緩和ケアニーズに関して個別インタビューやフォーカスグループインタビューを実施し、分析中。 3)難病の子どもとその家族のQOL・緩和ケアに関するアクションリサーチプロジェクト (1)子どもの緩和ケアについて市民とともに考えるプログラム:子どもの緩和ケアに関する市民を巻き込んだ企画として、第3回福岡子どもホスピスプロジェクト「ひと×ひと展」を7月25日~30日(九州大学大橋ルネット、参加者100人)開催した。また、10月22日には、難病の20歳の青年を迎えて、ディスカッション企画「余命を知って生きるということ」(九州大学総合研究棟105、参加者35名)を開催した。 (2)難病の子どもとその家族のQOL・緩和ケアを考えるプログラム:重い病気や障害を抱える子どもの家族を対象に、H24.1月9日、3組のご家族を招いてショートブレイクケアとしてサロン的な運営を試みた。 (3)ホームページを介した意見交換:ホームページを開設したが、コミュニケーションサイトとしての内容が不十分なため、現在見直し、検討中である。 4)日本型小児ホスピスの可能性の検討:研究協力者である小さな診療所の京極医師の開始した病児の日中一時預かりについて、重い病気や障害のある子どもとその家族のレスパイトケアの可能性について検討し、その発展として、福岡子どもホスピスネットワークを立ち上げた。メンバーは、小児病院等の小児緩和ケアの実践家を加え、現状の共有とトータルケアとしての子どもホスピスにむけた意見交換を目的に3月29日に第1回ミーティングを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
市民や当時者を巻き込み、展開しているアクションリサーチであり、プログラムを開催することに準備と時間がかかり、複数のプログラムを開催しているため、2)の当事者のケアニーズを質的に分析する分析作業が遅れている。また3)ホームページについても、「ホスピス」という言葉の抵抗を考え、広く市民に受け入れやすいホームページの構成や表現について検討を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間の研究結果より、トータルケアとしての子どもホスピスを考えるために多領域の専門職や当事者、市民との共同ワークの可能性は見いだせたが、重い病気や障がいのある子どもの居場所を創造するためには、医療的な保証は必須であり、医療職者の連携が課題であることが明らかとなった。24年度以降は、今年度3月に開催した難病の子どもに関わる有志の医療職者との子どもホスピスネットワークを軌道にのせ、現実可能なモデルを模索しながら、仕組み作りにつなげていく。 一方で、「ホスピスケア」は終末期ケアとしての認識が根強く、特に小児緩和ケアは子どもの成長発達支援を含めたトータルケアであることの認識は薄く、今後も啓蒙や実践プログラムを継続しながら、例えば小児医療の課題となっている新生児集中治療室で幼児期を過ごす子どもや家族への在宅移行や在宅支援を視野にいれたプログラムも考慮し、居場所の創造を目指したい。
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Research Products
(7 results)