2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22615018
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
永井 由佳里 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (80320646)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | デザイン学 / 自己形成 / 創造性 / 内部観測 / 制作学 / ポイエーシス / 内発的動機 |
Research Abstract |
創造性の視点からデザイナの思考過程の内部観測に挑戦した。従来の学術においては、研究者が当事者となる観察は、主観的な要因が混ざる恐れから研究の方法論として取り入れられてこなかった。しかし、創造性の面では、当人にしかわからないことや当人であるからこそ感じ取れることがあり、それが、人間の創造性を理解するうえで重要な課題であると考えられる。そこで、本研究は、デザインという高度に創造的な課題を追行する当事者がどのように自己を理解し、かつ、自己を形成していくのか、さらに研究することで自己にどのような変化が生じるのかを、長期的にとらえる実験を行った。 第一に、個人のデザイン過程を対象に、認知科学や芸術学の専門的研究者と議論し緻密な研究方法を構築し、実験を行った。その結果、デザイナが自己を形成していく過程とデザイン主題の形成の関係が観測でき、自己の創造過程を振り返ることのみならず、他者の観察との比較により、さらに深い自己を見出し、かつそれが新たな主題として次なる自己の形成に寄与していることが突き止められた。次に、デザインの社会的過程を加味した創造過程の内部観測を行った。グループによるオープンエンドの課題で、空間デザインを行い、内部観測により記述されたデザイン過程をモデル化した。当該年度は特にこれらを総合して、矛盾点や境界、条件についての議論を重ね、内部観測による研究方法の体系化に力を入れた。 新たな研究方法の提案、構築、その検証により、未踏とされてきた人間の主観による内部観測が成功する可能性と、その条件、及び事例を示したことは、デザイン学ならではの学術的意義だと考える。また、その結果から、創造性と自己という重要な問題とそれに大きく寄与する内発的動機と主題の関係を示し、研究成果を公開した。本研究により、デザインの実践が知識にどう関係しているのかを解明する、より厳密な研究方法を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(15 results)