2011 Fiscal Year Annual Research Report
光環境の感性評価モデルに基づいた照明デザイン支援システムの開発
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22615020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 泰一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90232305)
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Keywords | 人間生活環境 / 感性情報学 / 照明 / 色彩 / 視覚 / 照明デザイン / 光環境 / LED |
Research Abstract |
本研究課題では平成23年度に次の研究を実施した。 1.照明空間の視覚的感性の定量的評価モデルの検討 平成22年度に実施した照明空間に対する心理評価実験の結果に基づいて光環境の視覚的感性の定量的評価モデルの一般化を検討した。心理評価値を光分布の特徴量を3軸とする座標空間上にプロットし,それぞれの心理量の全体的な変化の傾向や相互作用を分析した。 2.照明色の心理評価の色度図広範囲にわたる系統的な測定 LEDの普及に伴い照明への色光の活用が注目され,今後,照明の色が光環境デザインの重要な変数となっていることが考えられる。色光照明の基礎データを提供するため室内の照明光の色を色度図の広範囲から選択し,その光環境が与える心理的な評価を体系的に測定する実験を実施した。実験は模型空間を用いて,R,G,Bの蛍光灯を調光することによって再現可能な色領域から体系的に選択された色による全般照明を与えた。その照明環境の心理的な印象(明るさ感,活動感,開放感,自然性,温冷感,快適性,覚醒性)を心理評価実験によって評価した。実験結果を色空間上にマッピングすることによって,色と心理評価との関係を総合的に表現した。その結果,明るさ感は照度が主要な変数となること,活動感は色の影響が大きく,赤系の色光で高まること,また自然性は黒体軌跡近傍の色光で高い評価になることなどが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の基礎データとなる照明による光の空間分布と心理評価との関係についてはすでに実験を実施して,結果をまとめている。また当初の計画に追加するかたちで色光による影響も系統的な実験を実施し,結果をまとめている。したがって,進行状況は順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの照明空間に対する心理評価研究の成果に基づいて,色光利用も含めた光環境に対する視覚的感性の定量的評価モデル化を試みる。具体的には色光照明を導入した照明空間の明るさ感や活動感を光分布の輝度情報,色度情報に基づいて定量的に推定する方法を検討する。さらにそれらの評価指標を一般的な空間条件に適応可能なように拡張することによって,新しい照明設計の基礎技術の開発を目指す。本研究課題のまとめとして新光源を活用した新しい照明デザインの可能性を考察する。
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