2011 Fiscal Year Annual Research Report
患者・家族が抱える医薬情報ニーズの体系化とMIPSの開発に関する研究
Project/Area Number |
22650048
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
渡邊 智山 関西大学, 文学部, 教授 (30309207)
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Keywords | 医療・福祉 / 医薬情報 / メディカル情報 / 情報ニーズ / 情報探索 / パスファインダー |
Research Abstract |
患者およびその家族が必要とする情報が簡易に探し出せるツールとして、図書館情報学分野で注目されるパスファインダーの思想に基づいた新たなツールを思案するため、医療従事者、患者・家族に対するインタビュー調査・アンケート調査を継続しながら、これまでの医療情報提供に関わる現況と問題点について、「2010(平成22)年厚生労働省委託事業「あなたの思いを聞かせてください!がん対策に関するアンケート調査(調査対象:入院・通院患者2273人)」、『厚生労働省白書』および関連文献、情報探索過程に関連した研究文献を基本に整理した。 結果として、(1)対がん戦略総合研究事業において情報提供サービスの重要性は唱えられてはいるものの、具体的な所作については今後の課題となっていること、(2)「IT戦略の今後のあり方に関する専門調査会」が提示した「i-Japan戦略2015」に見られるように、情報を管理するための「機械的な仕組み」に施策の焦点が合わされていること(コンテンツベースではない)、(3)メディカル情報の恒常的な新規性を担保し、それら情報を簡易に入手する体系的な方法論が確立されていないこと、(4)従来のメディカル情報に加えて、「ピア・サポート(Peer Support)」がかなりの比重で有用であること(相談窓口含む)、(5)情報コンテンツの提供に社会的な役割を果たす図書館が、パスファインダーを基礎としたメディカル情報サービス(文部科学省「大学図書館における先進的な取り組みの実践例-大学の学習・教育・研究活動の質的充実と向上のために-」に記載)を展開しつつあるが十分でないこと、等を明らかにした。また、これらの問題点に対処するために、医療従事者・第三者の患者(がんサバイバー等)を「模倣」=「仮想化」することの重要性と、現実、その行為によってこそ合理的な情報探索が可能となること、そして、目標としたプロダクトを開発するためのモデルを提示した。
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