2011 Fiscal Year Annual Research Report
多点同時蛍光相関分析法による神経細胞樹状突起内の分子動態の解析
Project/Area Number |
22650066
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井上 貴文 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10262081)
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Keywords | 分子・細胞神経科学 |
Research Abstract |
本研究は申請者の開発したランダムアクセス型2光子励起顕微鏡システムを用いて、これまで困難だった遊離タンパク質の動態を直接計測することを目指す。多点で同時に蛍光相関分光法(FCS)を適用することにより樹状突起の細胞質中を高速に移動するタンパク質分子の動態を捉え、シナプスと核を連絡するシグナル系の実態を明らかにすることを目的とする。これまで細胞質内を拡散する遊離型タンパク質は拡散速度の桁違いの大きさのため直接的な動態の計測は困難だった。蛍光相関分光法(FCS)は溶液中での.分子の振る舞いを計測する手法で、これを細胞内に適応することにより細胞質内の遊離タンパク質の挙動を追跡できる。しかし従来のFCS装置は細胞内の.点からしか記録できず、細胞内の様々な部位における機能タンパク質の動態解析を行うには制約があった。特に神経細胞は細胞内の機能局在性が高く、同時多点からのFCS解析は非常に多くの情報をもたらすことが期待される。本研究では新規に開発した2光子励起顕微鏡システムを用いカルモジュリン、CamKII、Ca結合タンパク質(calbindin等)などシナプス機能に重大な機能分子のスパイン内外での動態を検出することを試みる。本年度は株細胞を用いて細胞質のタンパク質のFCS計測を実際に試みた。GFP発現プラスミドをHEK293細胞に発現させ細胞質の複数点から蛍光強度変化を10kHz以上の時解像度で取得することに成功した。また、自己相関を計算し表示し、自己相関関数にフィットさせるソフトウェアを完成させた。現在コントロールであるGFPの自己相関が理論通り得られるよう光学系の調整を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非常に複雑な光学系を用いており最適な条件を得るために多くの時間を要した。現在も感度を上げるべく努力している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在神経細胞内で蛍光タンパクを融合した機能タンパク質のFCS測定を施行している。その過程で、非拡散成分と拡散成分の抽出方法などを検討しつつ精度を上げている。研究計画の遂行において特に問題点はない。
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