2010 Fiscal Year Annual Research Report
生きたまま初期胚の染色体異数性を可視化する技術の開発
Project/Area Number |
22650096
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山縣 一夫 独立行政法人理化学研究所, ゲノム・リプログラミング研究チーム, 客員研究員 (10361312)
|
Keywords | 初期胚発生 / ライブセルイメージング / 染色体異数性 / トリソミー |
Research Abstract |
卵子・初期胚で生じる染色体異数性は、流産の主たる原因になるだけでなく、出生した場合はダウン症などの重大な先天性の染色体異常疾患を生じる。しかし、その発生原因については初期胚という性質から研究手法が限られており、不明な点が多い。そこで本研究では、生きたまま初期胚において任意の染色体を特異的に可視化する技術を開発し、この問題に寄与したい。具体的には、任意の染色体に特異的に結合する蛍光プローブを作製し、それを申請者らが開発した「発生にダメージのない初期胚ライブセルイメージング技術」に適用する。減数分裂や初期卵割時の染色体分配過程を可視化することで異数体の発生現場を捉え、かつ異数性を示した胚のその後の発生能も検討する。あわせて、本技術を新しい着床前遺伝子診断として応用可能か検討してゆく。 当初、任意の染色体を特異的に可視化するためのツールとして、DNAのシス配列に対して特異的に結合するタンパク質ドメインをデザインし、それに蛍光タンパク質を融合するプローブを検討していた。しかし、申請者らは、これと同時並行させながら特異的なヒストン修飾状況の動的変化を生きた細胞の中で観察するシステムを構築しており、本年度はそれを応用することにした。具体的には、M期染色体を特異的に認識するヒストンH3セリン10番目リン酸化抗体、さらに同じくM期染色体を特異的に認識するが、リジン9番目がメチル化されたときにのみ結合する抗することができた。さらに、この卵子の紡錘体を化学処理により破壊することで染色体を散在させ、その後顕微操作により単一染色体のみ取り出すことに成功した。これらの結果は、今後本研究の目的が達せられる可能性を強く示していると思われる。
|