2011 Fiscal Year Annual Research Report
アンコール文明と流域環境の相互変遷に着目した「時空を旅するESD教材」の創出
Project/Area Number |
22650197
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
平吹 喜彦 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50143045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚脇 真二 金沢大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00222133)
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Keywords | ESD / 環境変遷 / 生態系サービス / 伝統的な暮らし / 教材創出 / アンコール文明 / 国際研究者交流 / カンボジア |
Research Abstract |
平成23年度は、本研究課題にかかわる現地調査・打ち合わせを11月(塚脇)と12・6・7月(平吹)に実施し、さらに関連する現地活動を8回(5、6、8、9、12、2、3月に塚脇が、8月に平吹が)行った。不幸なことに、平成23年秋季に本研究のフィールドであるシェムリアプが大洪水に見舞われ、当初の研究計画は修正を余儀なくされたが、しかし一方では、被災実態を視察・記録する活動を通じて、恵み多き自然が内包する荒々しさや地域社会の脆弱性・レジリエンス、伝統的な暮らしの中に息づく減災・防災の工夫といった情報を入手することができた。 また、この間、平吹は在外研究員としてバンコクのカセサート大学に滞在していたことから、これまで以上に頻繁にカンボジアを訪問したり、あるいはバンコクに集中する学術機関をたずねて地理・気候・民俗・文化・資源植物などに関する情報を収集することができた。塚脇は、6月と11月、世界各地から専門家が参集するアンコール遺跡国際管理委員会に出席し、また1年を通じて、本研究のカウンターパートである国立アンコール世界遺産管理運営機構(APSARA)と打ち合わせやフィールド巡検を重ねた。その結果、アンコール世界遺産地区の統合的管理のあり方やシェムリアプ川流域の自然環境と住民生活に関して、地域に根ざした情報が蓄積された。 こうした災害・復旧の実態や丁寧な現地情報の収集を踏まえて、「時空を旅するESD教材(試作版)」の作成にかかわる当初案の修正を含んだ検討、および最終年度となる平成24年度のロードマップの調整を、主にインターネット上で実施した。そして、「時空を旅するESD教材(試作版)」の骨組みを整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年9~12月に、本研究のフィールドであるシェムリアプおよび平吹の在外研究実施地であるバンコクにおいて大洪水が発生し、当初の研究計画は遅延・変更を余儀なくされた。カウンターパートであるAPSARAも洪水への対応・復旧に多忙を極め、また平吹も1か月に及ぶ避難生活に遭遇した。 一方、こうした大災害は、恵み多き自然が内包する荒々しさや地域社会の脆弱性・レジリエンス、伝統的な暮らしの中に息づく減災・防災の工夫といった意識下に埋もれていた特性を垣間見る機会にもなった。 東日本大震災ともあいまって、自然のもつ二面性や、減災・防災にかかわる暮らしの中の伝統的な知恵・技法を盛り込んだESD教材とすべく、「時空を旅するESD教材(試作版)」の構成・内容の修正を行い、最終年度となる平成24年度のロードマップの調整を、主にインターネット上で実施した。そして、「時空を旅するESD教材(試作版)」の骨組みを整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はプロジェクト最終年にあたることから、これまでの研究成果を踏まえつつ「時空を旅するESD教材」の完成をめざす。その際、2011年3月11日の東日本大震災や9~12月のインドシナ広域大水害の被災経験に基づいて、「家族の絆」や「隣人への思いやり」、「災害レジリアンスを加味した持続可能な地域づくり」、「シェムリアプ地域の自然・暮らしを規定する水環境や治水利水」の重要性をより強くアピールすべく検討を深め、ESD教材に反映させることにする。 その工程は、先ず、昨秋のインドシナ広域大水害の影響で進行が遅れている「時空を旅するESD教材(試作版)」を7月を目処に完成させる。次に、シェムリアプを訪問し、ハンパオAPSARA副総裁(研究協力者)ら現地在住のステークホルダーと最終的な意見交換を行い、試行的な教育実践や欠損データの収集を行う。塚脇は、世界各国から専門家が参集するアンコール遺跡国際管理委員会に出席し、情報収集と意見交換を行う。年度末には、「時空を旅するESD教材」を公開する。
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Research Products
(8 results)