2010 Fiscal Year Annual Research Report
社寺建築の年代判定のための細部意匠変化に関する指標の構築
Project/Area Number |
22650216
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三浦 正幸 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80136134)
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Keywords | 社寺建築 / 古建築 / 建築意匠 / 日本建築史 / 建築年代 / 年代判定 / 蟇股 / 文化財 |
Research Abstract |
建築年代判定指標の作成を行うのが本年度の目標であった。その手順は以下の通りである。近畿地方(厳密には山城・大和・摂津・河内・和泉・近江を中心とした地域)における社寺建築の資料写真(約3万枚)から細部意匠の蟇股(本蟇股・板蟇股)・木鼻(拳鼻を含む)を抽出し、中央の基準作を決定した。年代判定基準作については、候補とされる建築の年代決定資料(古記録・棟札・墨書銘など)の検討をし、具体的な建造物名を決定した。 年代判定指標となる蟇股(本蟇股・板蟇股)・木鼻(拳鼻を含む)について、広義の近畿地方(和歌山県・兵庫県を含む)における地域間の差の検討をしたが、木鼻における独特な意匠は別として有意な差異は認められなかった。近畿地方における暫定的な年代判定指標を作成し、近畿地方以外の地方における研究資料写真の抽出をした(地方作の抽出)。なお、資料の補足のため、京都市伏見区および福知山市・綾部市の社寺建築の現地調査を行った。 国宝・重要文化財指定目録に掲載されている建築年代のうち1割程度が誤りである可能性が認められた。また、当該建築における蟇股・木鼻が後補あるいは推定復元あるいは取替材であるものが多く、それらを綿密に吟味する必要があった。したがって、本研究は、文化財建造物の年代判定や建築史研究の基礎を再構築する重要な成果が得られるものと、確信できた。
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