2011 Fiscal Year Annual Research Report
社寺建築の年代判定のための細部意匠変化に関する指標の構築
Project/Area Number |
22650216
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三浦 正幸 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80136134)
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Keywords | 社寺建築 / 古建築 / 建築意匠 / 日本建築史 / 建築年代 / 年代判定 / 蟇股 / 文化財 |
Research Abstract |
伝統的な木造の社寺建築について、その建築年代の判定を、建築細部意匠に基づく目視を主体とした観察により、専門的研究者でない文化財実務担当者などが正確にかつ容易に行うための指標を構築することを目的とする。建築細部意匠は多岐にわたるので、そのうちで年代的変化が大きい部位を選定することとし、本研究では建築部材の一部である墓股と木鼻だけについての指標を構築し、その試用を行い、有意性の検証を行うものである。 本年度については、 1.指標の実用性・有意性について、大学院生を対象に試用検証 2.指標の問題点の検討と修正 を中心にして、研究を実施した。伝統的な建造物について専門的な文化財学の教育を受けてきた当研究室所属の大学院生(留学生を含む)を対象にして、平成22年度に作成した建築年代判定指標(蟇股・木鼻)を運用してもらい、その実用性や有意性についての検証を行った。その結果に基づき、指標の修正(主に分かりやすさの向上、明治以降の擬古作の排除など)や補充(部材の経年変化に関する指標の追加、年代区別の細分化、地方作及び素人作に対する年代補正)等の作業を行った。それらは本研究における根幹となる作業である。また、地方作の古建築の細部意匠資料を補充するため、高知県(土佐神社・竹林寺・朝倉神社など)長崎県(崇福寺・清水寺・興福寺など)・東京都(根津神社・護国寺など)の実地調査を行うとともに、広島県内の社寺調査も随時に行い、資料写真の補充をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、大学院生だけではなく、-伝統的な建造物についての知識をあまり有しない文学部大学生にも建築年代判定指標(蟇股・木鼻)を運用してもらい、有効性の検証をする予定であったが、その実施が未了であった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に若干の遅れはあるものの、来年度中の研究完了についてはほぼ目途がついているので、成果物の印刷等による公表を実施することとしたい。また今後は、手挟・大瓶束・簑束・懸魚・組物・虹梁などを含めた細部意匠全般に関する指標を江戸時代や明治時代まで範囲を広げて構築する本格的な研究に着手することを計画している。
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