2011 Fiscal Year Annual Research Report
圧縮による炭素ミクロ孔径の可逆的変化とオングストロームオーダーの制御
Project/Area Number |
22651038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
京谷 隆 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90153238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 洋知 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (80400430)
干川 康人 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90527839)
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Keywords | 細孔径制御 / 炭素ミクロ孔 / 分子ふるい / ゼオライト / 一軸圧縮 / ガス吸着 |
Research Abstract |
ゼオライト鋳型炭素(Zeolite template carbon: ZTC 1)は規則正しく配列した均一なサイズの細孔(約1.2nm)を有するナノポーラス材料である。ZTCは他のナノポーラス材料(活性炭、ゼオライト、多孔性配位高分子)に比べて極めて柔軟であり、機械的応力により容易に弾性変形する。変形の度合いが大きいため、細孔径の変化に伴い気体分子の物理吸着量の変化が期待できる。そこで、平成23年度はCH_4,CO_2,H_2の各種ガス吸着量の変化の実測を試みた。初めにZTCを超鋼製のジグに充填し、一軸圧縮した際の応力-歪み曲線を測定した。得られたデータを元に、ネジ式の加圧ボルトでZTCを圧縮し、ZTCの体積圧縮歪みが0%、20%になる圧力で固定した。それぞれの状態においてZTCの細孔径は1.2nm、0.96nmと見積もられる。i)圧縮前、ii)圧縮中、iii)圧縮後に応力を解放した状態の各段階にて、CH_4吸着等温線測定(25℃)を行った。その結果、細孔径が1.2nmから0.96nmに減少するのに伴いCH_4の吸着量が増加していることがわかった。これはZTCの細孔径が縮小することでCH_4と細孔との間の物理吸着ポテンシャルが深くなったためである。実際、異なる温度で等温線測定を行い吸着熱を求め、圧縮前(17kJ/mol)に比べて圧縮中には吸着熱が18kJ/molに上昇することを確認した。また、圧縮前と圧力解放後の等温線が一致していることから、ZTCの細孔径は機械的な圧力に対し可逆的に変化していることが確認できた。このように、機械的応力によりナノポーラス材料を変形させ、それに伴うガス物理吸着量および吸着熱の変化を実測できた例は過去には皆無である。
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Research Products
(4 results)