2010 Fiscal Year Annual Research Report
系統間マウス交配により生じるクロマチン構造の不安定化
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22651075
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Research Institution | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター、DBCLS) |
Principal Investigator |
梅森 十三 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター、DBCLS), 新領域融合研究センター, 融合プロジェクト特任研究員 (20462913)
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Keywords | 遺伝的不適合 / 髄鞘形成不全 / レトロトランスポゾン / 低分子RNA / エピジェネティクス |
Research Abstract |
1. 遺伝的不適合マウス脊髄で発現する低分子RNAの網羅的解析 BLGおよびコンジェニック系統(BLG-Genicl^<k/k>について、髄鞘形成が開始する生後直後の脊髄より、低分子RNAを抽出した。抽出したRNAは、タグを付加した後に逆転写を行い、Solexa Genome analyzer IIにより、その配列を決定した。解析の結果、1)IAPに関連する低分子RNAがBLG-Genicl^<k/k>で変化していた。2)IAP以外のレトロトランスポゾンに関連する低分子RNAについては、大きな差は見られなかった。3)マッピングの結果、低分子RNAの発現がゲノムワイドに変化していた。以上の結果は、BLG-Genicl^<k/k>脊髄におけるIAPの過剰発現は、低分子RNAの発現が関与している可能性を強く示唆している。また、今後発現変化を起こしている低分子RNAがどのような種類のものかを同定する必要がある。これにより、BLG-Genicl^<k/k>のIAPの過剰発現および、髄鞘形成不全のメカニズムに迫れると期待される。 2. IAP異常発現と髄鞘形成不全の関係 脊髄におけるIAPの異常発現と髄鞘形成不全との関係を調べるために、レンチウイルス-ショートヘアピンRNA(shRNA)によるノックダウンの系を培養細胞で確立した。現在、このレンチウイルスを受精卵に感染させることに成功し、このウイルスがゲノムに挿入され、次世代に伝わることを確認した。つまり、shRNAを恒常的に発現することができるトランスジェニックマウスの作成に成功した。現在、新生仔脊髄のサンプリングを行っており、今後定量PCRにより、BLG-Genicl^<k/k>のIAP発現が抑えられているか、またこれにより、髄鞘形成不全が個体レベルで回復されるかを確認している。これらの解析により、IAP異常発現と髄鞘形成不全の因果関係が明らかになると期待される。
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