2011 Fiscal Year Annual Research Report
音響解析を用いたインドネシア・バリ島のガムランの変遷
Project/Area Number |
22652020
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
塩川 博義 日本大学, 生産工学部, 教授 (50187324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 英春 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (40316203)
皆川 厚一 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (60337748)
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Keywords | ガムラン・ゴング・クビャール / ガムラン・グンデル・ワヤン / ガムラン・アンクルン / バリ島 / うなり / 音程 / 音高 / 有限要素法 |
Research Abstract |
22年度に引き続き、研究代表者である塩川と研究分担者である梅田と皆川は、23年度も8月から9月にかけてインドネシア・バリ島においてガムランの調査および測定を行った。まず、昨年測定したデンパサールにおいて最初に製造されたとされるブラルアン集落のガムラン・ゴング・クビャールと比較するために、19世紀から存在してプメチュタン王宮が所有しているガムラン・ゴング・グデを測定した。また、1969年に製造された国立芸術大学ISIが所有しているガムラン・ゴング・クビャールとガムラン・ゴング・グデも測定した。これらの調査の結果、昨年度、ブラルアン集落におけるガムラン・ゴング・クビャールの鍵盤楽器の音高は1962年に製造された芸術高等学校SMKIのそれに近いことを明らかにしたが、1969年に製造された国立芸術大学ISIのそれは、ブラルアン集落のものよりも多少低いことが明らかになった。また、プメチュタン王宮が持っているガムラン・ゴング・グデにおける鍵盤楽器の音高は、ISIのガムラン・ゴング・グデのそれよりも高いが、ブラルアン集落のガムラン・ゴング・クビャールのそれより、かなり低いことが明らかになったので、両者の間には、あまり関係性はないことが明らかになった。また、塩川と連携研究者である豊谷は、一昨年バリ島の楽器工場において試作した鍵盤のモデリングを行い、有限要素法を用いて2次元のモード解析を行い、実測値と比較検討した結果を日本音響学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の製作されているガムラン・ゴング・クビャールの調律における音高や音程の基準となっていると考えられる芸術高等学校SMKIおよび国立芸術大学ISIのそれらと、デンパサールで最初に製造されたブラルアン集落のガムラン・ゴング・クビャールとの音高が近いことから、現在のガムラン・ゴング・クビャールの調律における音高や音程は、ブラルアン集落のそれがルーツと考えられることを突き止めたため。また、ブラルアン集落のガムラン・ゴング・クビャールは、プメチュタン王宮が持っているガムラン・ゴング・グデより音高はかなり高いので、あまり関係性がないことを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ブラルアン集落におけるガムラン・ゴング・クビャールの音高や音程のルーツを探るために、タバナンで最初のガムラン・ゴング・クビャールとしてガムラン・ゴング・グデから造り変えられたタバナン州パンクーン集落のそれを測定する。そして、さらに、ガムラン・ゴング・クビャールの発祥の地とされているバリ島北部において、なるべく多くの調査および測定を行う必要がある。また、コンピュータ・シミュレーションによる解析においても、有限要素法を用いて3次元のモード解析を行い、実測値と比較する。これによって、ガムランの鍵盤楽器における調律方法を細かく分析していく予定である。
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Research Products
(4 results)