2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22652040
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
斉藤 くるみ 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (30225700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槻舘 尚武 国際基督教大学, 教育研究所, 研究員 (80512475)
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Keywords | 視線 / 日本手話 / 表情 |
Research Abstract |
手話者の複数の種類の視線を言語性を基準に分類して,音声言語話者にも言語的視線に極めて近いものが存在していることを示し,視線の言語記号化までの段階的メカニズムを解明し,視線の言語化は人間の言語能力のひとつであることを証明する. 日本手話を母語とする手話者(ネイティブサイナー)の手話表出の中の視線を取り出し,整理した.また手話に酷似したインド舞踊の視線を抽出した. 一方,理論の研究として手話音韻論(MHモデル・HTモデル)やイントネーション音韻論等の言語学的理論を調べた.また視線についての脳科学的な研究結果も調べた.視線認知の神経基盤として扁桃体とSTS上側頭溝領域がはたらいていることが明らかになってきた.しかしこれは表情の認知の一部とも考えられ,かならずしも言語的な意味を認知しているという意味ではない.しかし視線の方向を認知するには右STS上縁が働いていることまでは明らかになってきた.(視線方向に注意を転導するしくみについては明らかになっていない.)言語的理解のメカニズムが脳科学的にすぐに明らかになるとは考えにくい.現段階では言語学的な分析によるべきと考えられた. 視線以外の表情を排除したPC上のキャラクター画像を作成し,日本手話表現を示すキャラクターの視線を変えて,その自然さ・不自然さを,日本手話のネイティブサイナーに判断してもらう方法も考えたが,日本手話の視線の規則を発見するのに有効かどうかは今後判断する.これまでネイティブサイナーの視線とインド舞踊の視線や日本語にともなう感情の視線と比較してきたことは,視線が段階的に言語的になっていくことを証明するために重要である.
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Research Products
(6 results)