2012 Fiscal Year Annual Research Report
歴史図像学的アプローチによる日本近世の紙幣に関する研究
Project/Area Number |
22653039
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
加藤 慶一郎 流通科学大学, 商学部, 教授 (60267862)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 紙幣 / 図像 / 文字情報 / 印 |
Research Abstract |
今年度も主に大英博物館所蔵日本古紙幣の整理をすすめた。合計225点のうち、それぞれの写真が公開されている180点について解読をおこなった。山城国・大和国・摂津国・播磨国・紀伊国の紙幣が大半で、ほかに佐賀藩・福岡藩札や、太政官札・民部省札などがあった。年度末にその概要について報告書を作成した。記載事項は、①大英博物館管理番号、②写真(表)、③写真(裏)、④参考文献、⑤大きさ(縦×横、㎝)である。従来のこうした作業では、発行者・発行年などの特定の根拠・参考資料に言及されることは余りなかった。しかし、今回はオンラインデータベース「東京大学大学院経済学研究科所蔵古貨幣・古札画像データベース」のほか、国立資料館編『江戸時代の紙幣』、大鎌淳正『大和紙幣図史』(柳沢文庫、1981年)、紀州古泉会編『紀州藩札史の研究』(三重県郷土資料刊行会、1985年)、百田米美『図説佐賀藩の藩札』(九州貨幣史学会、1983年)、日本銀行調査局編『図録日本の貨幣 5』(東洋経済新報社、1974年)、『同 6』(同前、1975年)などの該当箇所を明記した。紙幣を史料として利用する際には、それが単なる「絵とき」にならないよう注意が必要である。たとえば、AN1029556001は摂津国莵原郡で発行された寺社札で、いわゆる「宝尽くし」の図像のほか、「発行目的」(諸職人手伝賃)、発行年(慶応四年)と額面(銭百文)、「発行者」(天上寺)、引替所(柴屋善三郎)が印刷されている。しかし、それ以外にも篆書体で「都賀庄十五村」という朱印と、「摩耶山諸堂再建」という八方崩しの印刷がある。特に前者は鮮明な朱印で、不鮮明で迫力を欠く宝尽くしとは対照的で、この紙幣を諸村落も担保することが分かる仕掛けとなっている。このように史料として紙幣をより有効に利用するためには、図像情報・文字情報をこれまで以上に活用する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)