2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653044
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 義也 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30062178)
ベントン キャロライン 筑波大学, ビジネス科学研究科, 教授 (50520897)
平松 庸一 新潟大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90432088)
清家 彰敏 富山大学, 経済学部, 教授 (10249261)
内田 亨 西武文理大学, サービス経営学部, 准教授 (50453460)
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Keywords | 養殖 / ネットワーク / グローバル / イノベーション / 水産会社 / コンピタンス / ビジネネモデル / 競争優位 |
Research Abstract |
本年度はブリ養殖の課題にフォーカスして研究を進めた。第一に、川上の部分では、種苗が天然のモジャコを使うことによる価格の不安定性がある。事実、モジャコの好不漁により養殖量が左右され、また、大量採捕によるブリ天然資源量の減少も懸念されることになる。ある研究によると、「この点について、ブリ養殖の場合、天然のモジャコを五月から七月にかけて漁獲し、餌付けして育てるので、不漁で入手困難なときは稚魚代が高くなり、逆にモジャコ好漁のときは稚魚代が安くなるものの、成魚のブリの消費需給が不均衡となる生産者泣かせの相場展開をする」ということが指摘されている。また、天然ブリの豊漁も養殖ブリの出荷価格に影響を与える。ただし、「漁船の燃料価格高騰で天然魚の価格が上昇する中、影響を受けにくい養殖魚は価格競争力を保持しやすい」との指摘もある。さらに、養殖は魚種によって養殖方法や餌の種類が異なる。ブリ類の中でもブリとカンパチでは、餌も違えば飼い方も違うため、一魚種の成功例が横展開できない難しさがある。そのため、自動車会社のように、車種による部品の共有化のようなコスト削減はできず、多様な魚種の養殖をしている大手水産会社でも、たとえばサケ、タイ、ブリなどの餌の共有化によるコスト削減は困難である。事実、サケ養殖で世界最大手のマリンハーベスト(ノルウェー)の日本法人、マリンハーベストジャパン社は、日本国内の現地に、オランダ人技術者を常駐させ、サケ養殖のノウハウを活用して大型のいけすなどを使った効率的な生産を目指した。しかし、成育面の不安定さを克服できなかった。また、ブリの餌の主原料である魚粉相場リスクも常に抱えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年の震災で、日本水産の工場が打撃を受け、調査協力が困難になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度からまた日本水産の協力で、鹿児島にあるブリ養殖のフィールド調査、ならびに日本水産本社でのインタビューを重ねており、研究の遅れは概ね取り戻しつつある。成果は、今年度の日本経営品質学会において報告する予定である。
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Research Products
(2 results)