2011 Fiscal Year Annual Research Report
特別支援教育におけるスクールソーシャルワークの意義と可能性に関する実証的研究
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22653066
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
安原 佳子 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (70309376)
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Keywords | スクールソーシャルワーク / 特別支援教育 / 障がいのある生徒 / 普通高校 / 福祉的支援 |
Research Abstract |
スクールソーシャルワーク(SSW)と特別支援教育の関係性を明らかにし、SSWに固有の課題を整理し、SSWの機能と重要性を研究することを目的とし、H23年度においては、主に以下のような情報収集を行った。また、得られた情報の整理のための検討会を3回、ワークショップ「社会資源の活動」、研究会「要保護児童対策地域協議会における家庭児童相談室の機能」を実施した。 (1)SSW領域で特別支援教育を積極的に扱っている実践や研究に関する海外の文献収集 (2)海外(ソウル)事情の視察 (3)大阪での公立普通高校(3校)における特別支援教育の状況とSSW領域の問題についての聞き取り調査 海外の視察は、前年度に引き続き、SSW導入の歴史において日本とあまり変わらない状況のソウル市を選び、障がい者福祉現場側からのSSWに関する現状と要望を調査した。そこでは、学校と福祉現場の連携の重要さが課題となっていることが明らかになった。 高校の調査に関しては、大阪府で高校授業料全額補助となったため、私立に多くの生徒が流れ、公立高校の定員割れが生じ、その結果これまで障がいのある生徒を受け入れたことのない公立高校においても、多くの障がいのある生徒が入学するという大きな変化があった中で行った。そのため、学校側の指導・支援体制が整っていない現状の中で、障がいがあるゆえの支援、特に生徒の自立を視野に入れた福祉的支援の難しさが顕著になった。今後も普通高校における特別支援教育の必要性が増すと思われるため、調査を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内での調査に関しては、高校の特別支援教育におけるSSWに固有の課題に特化したため、時間をかけて高校現場の話を聞くことができ、より詳細なデータを集めることができた。海外の視察に関しては、予定していたカナダに行かなかったが、SSWが日本と同じ時期に導入されたと前年度の調査で明らかになったソウル市において、SSWだけでなく障がい者福祉側からの調査ができ、より広い領域からのデータを収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、H22年度から収集したデータをまとめることが大きな目的であるため、できるだけ上半期に検討会を複数回行って課題を整理し、報告書や論文等の作成につなげる。また、高校における特別支援教育の実際とSSW固有の課題を掘り下げるため、高校に対する聞き取り調査を多くする。普通高校における特別支援教育の必要性はますます大きくなり、そのためSSWの重要性も増すことが予測されるため、今後も調査研究を継続していく予定である。
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Research Products
(1 results)