2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653077
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小島 治幸 金沢大学, 人間科学系, 教授 (40334742)
|
Keywords | 発達障害 |
Research Abstract |
目的:自閉症者の知覚的特徴として対象物の細部の特徴の記憶や,局所的特徴への注意の偏りなどが知られている.これらのことは、自閉症者が一般者とは異なる方略で対象認知を行っていることを示唆している.特に,Plaisted, Sweettenham and Rees (1999)は自閉症者が対象の全体をとらえることが困難であると報告した.本研究ではこの報告の再検証とより詳細な知見の獲得を目指している.本年度は,一般健常者において,図形や文字対象の認知判断課題における行動データの取得と,その課題時における脳活動データの収集を行った. 方法:文字(H,Lなど)と単純幾何学図形(△、◇など)を「要素」として用い,大文字や大図形を描く事ができる.これらの文字や図形を刺激として観察者に提示し,局所(要素)文字/図形や大域(全体)文字図形のどちらかを答えさせる課題を実施した.刺激呈示は右視野または左視野に行い,左半球または右半球を一次的に刺激して,これらのときの反応速度と正答率を調べた.また,これらの課題実施中に,近赤外分光法測定装置(Near-Infrared Spectroscopy : NIRS)によって後頭葉左右半球における脳血流計測を行い,両半球の脳活動を調べた.20名学生(全員右利き)から有効な課題遂行成績と脳血流データを得た。 結果:それぞれの課題条件における遂行成績を得た.また,後頭葉の左右半球における課題実行時の脳血流量変化を計測した.現在,これらのデータを解析している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H22年度に行った健常者を対象とした言語/図形同定課題の結果と比較するためにH23年度には自閉症者を対象とした同課題の実施/データ計測を計画していた.しかし,H22年度に行った実験課題の詳細を吟味した結果,課題設定が充分でないとの結論に至ったため,本年度には実施課題を再度新たに作成した上で,健常者の課題成績と脳活動反応の計測を行った.このため,本年度には当初計画していた,健常者のデータは取得できたが,自閉症者のデータ取得までにはいたらなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(H24年度)には,これまでに取得した課題並びに脳活動のデータ特徴を早急に分析するとともに,健常者に実施した認知課題を用いて,自閉症者に対するデータ取得を進めて,健常者と自閉症者の間の行動的/脳生理的特徴の比較を進める. 学生でない一般の自閉症者の実験参加を求めるため,時間の調整等が必要になると考えられる.参加者の募集などにも十分な時間をとり,実験計測を進めてゆきたい.
|
Research Products
(4 results)