2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人を巡る文化受容と伝搬-戦時期日系人社会における教育を中心に
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22653111
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
西井 麻美 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (90218107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 かな子 青森中央短期大学, その他部局等, 教授 (80405943)
金井 ジュリー(西井寿里) 川崎医療福祉大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40351952)
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Keywords | 文化受容 / 日系人社会 / アメリカ合衆国 / 旧満州 / カナダ / 比較教育 / 比較文化 / 移民 |
Research Abstract |
本年度は、アメリカ合衆国・カナダおよび旧満州地区における戦時期を中心とした日系人・日本人に係る文化の伝承と伝搬についての聞き取り調査を行い、教育的視点から比較検討した。 アメリカでは、ニューヨークとボストンを訪問したが、日系人の方への聞き取り調査以外に、日本文化に関連した研究を行っているジャパンソサエティを訪問し、アメリカにおける日本文化の伝搬状況について伺った。アメリカでは、東日本大震災後、日本人の精神文化への関心が高まっているが、その根源について、日本文化研究者の間で、戦時期に日本人に顕著にみられた精神文化とのつながりを強調する見方が出て来ていることが分かった。 また、ボストンでは、ハーバード大学ケネディースクール学寮において、教員およびポスドクの院生などと意見交流会を行った。ブラジルから留学している日系人や日本人の親族を持つ者からは、戦時期の親族の思い出などについて聞く機会があり、海外に生まれ育った子孫が戦時期の親族の日本文化にまつわる体験についてどのように受け止めているのかをうかがい知ることもできた。 旧満州地区の調査では、学校教育の場において、女性を中心に、日本の伝統芸能や日本人としての振るまい、礼儀作法といった生活文化の継承について現地に残っている史料等から探った。 さらに、カナダにおける戦時期の日本人・日系人の状況について、自らもその子孫であり、当時の資料収集に努めている日系人の方にインタビュー調査を行った。これまでカナダにおける戦時期の日本人・日系人の日本文化の継承に係る研究は、あまりなされていない。今回の調査を他の地域での調査と比較し、移民問題としての共通点があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、アメリカ合衆国、旧満州、そしてカナダを中心に戦時期の日系人・日本人コミュニティにおける文化受容と伝搬について研究を進めた。これまであまり本テーマの研究が行われてこなかったカナダなどを調査し、比較することで、共通する移民の文化継承問題について、検討することができた。 だた、ブラジルについては、リオデジャネイロ市においてビル群倒壊事故が起きたため、本年度計画していた訪問調査を延期することになったため、ブラジルでの調査実施後に、改めて総合的な比較検討をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、研究代表者、研究分担者、連携研究者が、それぞれの専門を生かして調査研究に取り組んできているので、今後は、意見交換をさらに行い、総合的な比較検討を行っていく。 また、本年度予定していたブラジルのリオデジャネイロ市における聞き取り調査(ビル倒壊事故により延期)について、現地の研究協力者と打ち合わせを密にして実施する予定である。
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Research Products
(4 results)